1-終
「いやー悪いわね。娘を守ってくれて。あ、ママさんビール追加で」
「はいはい。まさか子持ちだと思わなかったわよシュニーズ」
「あの、ママさん。この人は誰なんだ?」
いきなりこの女性が飲みに行こうと言われ返答も聞かずに連れてこられたのだ。
「この子はシュニーズ・アイスよ。木製の武器製造会社アイス・エイス社の社長のお偉いさんよ」
アイス・エイス社。木星に拠点を構えている老舗の武器製造会社社だ。
「やだー。ママさんそんな褒めないでよー」
「で年は」
「ぎゃー!ママさんそれ言わないで!年は言わないで!年は!」
「全く。母さんは変わらないわね」
フーアはソフトドリンクを飲んでいる。何も知らなければ出来た妹とぽんこつな姉と言った感じだ。
「なんでファミリーネームが違うんだ?」
「まあ、私のパパとママがちょっとうるさくてね。婿養子ならともかく貴方があっちに行くのはダメだって聞かなかったのよ。まあ私も会社の武器開発担当だったから抜けられるのも困るという打算もあったんだろうけど。まあ色々交渉して今年には会社合併して暫くダーリンとハネムーンと行こうと思ったんだけれどね……」
シュニーズが暗い顔をする。まだ父親が死んで数日がだったばかりだ。
「副社長の馬鹿のおかげでハネムーンの予定が伸びたわよ全く!」
……ん?
「まてハネムーンに行くのか?夫が死んだのに?」
「行くに決まっているでしょ勿論夫と」
「遺影とハネムーンって重くないか?」
「何言ってるのよ。ちゃんと『復帰』して一緒に行くに決まっているでしょうに!」
復帰?一体なんの話だ?
俺が首を傾げているのを気づいたシュニーズはハッとした顔になって答えた。
「ああ、訳がわからないって顔をしてるわね。私と夫頭脳がAIに移しているのよ。この体もロボットみたいなものね。恐らくあのガン・ネクロマンサーもAI化したみたいね」
「そんな技術始めて聞いたぞ」
「そりゃそうよ。みんなそんなことしたら色々パニックになるからね」
「フーアは試験管ベイビーか」
「大当たり。元々保存していた私達のDNAを使っているから100パーセント私たちの子よ」
「結構前からある技術でねシュニーズみたいな技術がある人はAIに移して色々やってるのよ」
「言っておきますが私はまだAIじゃないわよ」
俺みたいな奴には程遠い話である。
「少し悪いが報酬はどうなるんだ?」
「おっと!そうね2万Cと。一回だけ追っ手から守ったんだからいいでしょ?」
「……言ったのは俺だからそれは文句がないが色はがつかないとちょっとなあ」
「まあそうよね。それじゃ楽で高い報酬金が出る仕事の案内。それと私達のコネ。それでいい?」
充分な程の報酬だコネは金では買えないものだ。
「……で、いきなり俺を縛ってどういう事だおい」
クラークがロープで縛られて床で寝っ転がっている。
どうやらガン・ネクロマンサーの拘束銃の調子は良さそうだ。
入って来るなりフーアとシュニーズを口説きにかかったからだ。
「……まあ今回は礼を言っておきますわ」
「おう、今後ともよろしくな。フーア」
「おい!聞いてるのか!おーい!」