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転校生と私の攻防戦?

目が覚めて、一番最初に見たものは真っ白な天井だった。



…当たり前か。

もうすでに、見慣れた天井。

一年の時から度々倒れてお世話になっている。

倒れる理由は言うまでもない。

…イケメンのせいだ。


「あ、起きた?」


すぐそばから、彩月の声が聞こえた。

聞こえた方向に向くと微妙な顔をした彩月。


…どうしたんだろう。

不思議に思っていると、ベッドとベッドの間を仕切っているカーテンが開いた。


「あ、やっと目を覚ましたんだ?」


それは、強烈な違和感を醸し出していた転校生だった。

イケメンが目の前に……。

あぁ、目眩が……。

再び、遠くなる意識。

転校生の笑い声を聞きながらまた意識を失った。


*  *  *


目が覚めたのは、夕方だった。

横を見ると彩月がいた。


「なんで、転校生がいたの?」

「分かんない。昼休憩になってあんたの様子見に来たらもういた。」

「どういうことよ…。」

「知らないよ。あんたが再び、意識失ってからずっと笑ってたよあの転校生。なに、知り合い?」

「分かんない。でも、雰囲気が前世で知っているやつと似てるんだよね…。」


頭痛と戦いながら転校生を思い出す。

あー、なんかあの笑顔を思い出したら腹立ってきた。


「あ、あと、あんたが倒れたあと高梨先生が異常なほど狼狽えてたよ?」

「へ?なんで?」

「知らないよ。なんか、見てて笑えるほど動揺してた。HRなんかまともに話せてなかったし。」

「ううーん。どうしたんだろうね?」

「さぁ?」


彩月と顔を見合わせて首をかしげた。


…嫌な予感がする。

私は、思わず布団のなかに潜り込んだ。


「やっほー。また来たぜ。」


潜り込んだと同時にまたもやカーテンが開いて転校生が来たみたいだ。


「あれ?布団に潜り込んでるじゃん。………チッ。」


あれ?私の聞き間違いかな?

舌打ちが聞こえたんだけど。


「咲々宮くん。どうしたの?」

「あ、えーと…。お前誰だっけ?」

「…篠原。篠原彩月。」

「あ、あー、篠原。うん。覚えた。」

「昼休憩もそういってた気が。」

「う、うっせーな!人の名前覚えるの苦手なんだよ!」


おぉー、なにやら彩月と転校生くんが仲良くお喋りしてる。

うんうん、そのまま私を忘れたまま帰ってくれたまえ。


「で、いつまで潜り込んでるつもりだ?えーと…。」

「夕咲凪。」

「あー、そうそう。夕咲。」

「…………。」

「…無視かよ。いいぜ。そっちがその気ならこっちにも考えがある。」


嫌な予感がする。

私は、咄嗟に掛け布団を強く握った。

すると、掛け布団が強く引っ張られる。

くっ!渡すものか!

私は、必死に布団にしがみついた。


「観念して、出てこい主人公!」

「いーやーだー!!私は、主人公をやめたの!!」

「簡単にやめれるわけないだろ!!さっさと俺とのイベントをこなせ!!」

「イヤ!却下!!断固拒否する!!あんたみたいなイケメンを学校案内したら命がいくつあっても足りないわよ!」

「イケメンが災厄みたいな言い方をするな!」

「イケメンの存在自体が私にとって災厄よ!害なの!滅びろ!イケメン!」


掛け布団を挟んだ言い合いはヒートアップしていく。

熱くなった私は、いつの間にか布団から顔を出して真っ直ぐに転校生を見ていた。

…その時、私はその事実に気付いてなかったけどね。

ギャンギャンと言い争っていると彩月の溜め息が聞こえた。


「随分仲いいわね。見ても平気なの?転校生くんは。」

「え?………ぎゃぁぁぁぁぁ!?」

「あ、おいコラ!!」


やっと、気づいた私は悲鳴をあげて布団のなかに引っ込んだ。

いやぁぁぁ、見ちゃったよぉぉぉ。

布団の中で、がたぶると震えていると誰かが布団越しに私の肩をポンポンと叩いた。


「ま、元気そうだしいいや。明日こそ、学校案内のイベントこなしてくれよ。」

「あら、帰るの?」

「おう。じゃあな、篠原。夕咲。」

「じゃあね、咲々宮くん。」

「………。」


私は、布団から手を出して中指を思いっきり立ててやった。

転校生くん…ならぬ、咲々宮くんがいなくなって静かになる保健室。

私はそっと、布団から顔を出した。


「ね、この世界って転生者しかいないんじゃないの?」

「そうかもね。」

「転生者の世界……ね。普通の世界と何が違うのかしら。」

「……シナリオがあるとか?」

「それは、ごく一部。それに、必ずこなさないといけない訳じゃないわ。」

「じゃあ、変わんないね。」


染々と呟く。


「この世界、本当にゲームの世界という言葉でおさまるような単純な世界なのかしら…?」

「彩月ー。難しく考えすぎ。この世界の住人の私たちが考えてもわかんないでしょ。」

「それもそうね。あーあ、真面目に考えて損したわ。」

「ってか、咲々宮が帰った途端シリアスっぽい空気やめよう?」

「ふふっ、そうね。ま、帰りましょ。」


二人で、笑いあって私はベッドから起き上がる。

そして、彩月とたわいもない話をしながら保健室を出て家を目指す。

いつもと変わらない、帰り道。


彩月と別れて、一人で歩く通学路。

見上げれば夕焼けに染まった空。


ねぇ、神様。

何のために転生者だらけの世界を作り出したか知らないけど。

私は、私らしく生きていってやる。


私の人生は、私が決める。

だから、イケメンを近づけないで。

平穏に生きさせろ!


私は空に向かって、中指をたてた。


滅びろ、イケメン!!


後半、なんか思わせ振りな会話でしたけど何か考えているわけではないんです。


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