異世界ワントップ
やはり村を狙っていたのか、道中ヴォーガムとあっさり遭遇した。数も予想通りだ。
さっそく陣形を整え、戦闘を開始した。
オレがワントップのように前に出る。
ワントップで大事なのは、仲間への気遣いだ。
サッカーにおいては、ストライカー=目立ちたがり屋のエゴイストという印象もあるかもしれない。だが、それは時と場合によると子供たちには教えていた。目立てる場面は大いに目立って、自信があるプレーは迷わず貫く。ただ、そんな場面は試合の中で数回しかない。大半は守備で追い回す時間や、ディフェンスを背負ってボールを収めたり叩いたりする、ボールを持たない時間だ。それでも、ワントップがどこにいるかで敵も味方も戦いやすさが変わる。どこにいたら敵が守りにくいか、味方が攻めやすいか。その思考の連続の末に、ようやく自分の手番が回ってくる。その瞬間にはプレッシャーなんて無く、ただただゴールに向かって蹴り込むだけだ。
思考がサッカーへそれかけたが、要するに「押し引きの駆け引き」が大事だという点は共通している。
オレが交戦している最中は、味方も直接は手を出しにくい。優位ならそのまま押せばよいが、そうでない場合は距離をとって後方から攻撃してもらう。その際も、敵の警戒がオレから逸れないよう、すぐに応戦できる位置をキープする。自分だけで突っ込むと前線と後方が分断される危険があるため、じわり、じわりとラインを押し込んだ。
一匹、また一匹と数を減らしていき、ついに群れのボスだけが残った。
最後は自分でトドメを刺したいところだが、今のオレには決定力がない。このチームの最大火力・ストライカーはベンチだ。ベンチが狙いやすい位置へボスの体勢を誘い込み、向きを固定する。そこへ絶妙なタイミングでベンチの鋭い斬撃が飛んできて、ボスの胴体を直撃した。他のメンバーも追撃の態勢を取っていたが、ボスが再び立ち上がることはなかった。
こうして最初の討伐戦は、無傷の完全勝利で幕を閉じた。




