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帰宅

俺たちは結構息が合ったコンビだった。

俺が長剣で攻撃したり、魔法を打った後にローラ王女が止めをさす。ローラ王女が襲われそうになると俺が長剣で守る。お互い背中を守る感じでクモ退治に励んだ。


もう4日目ということもありクモの勢いも弱くなってきた。


お昼時には一度階段の上のボス部屋に戻って二人で食事をした。

スーパーで買ってきたサンドウィッチを二人並んで分けて食べたのである。

ローラ王女は初めての味に少し驚いていたようだったがたまごサンドと照り焼きチキンサンドを喜んで完食した。


食事の後はクモのテリトリーで残ったクモがいないか確認して回った。子グモたちは可哀想だがファイアで焼き尽くした。


そうして残敵掃討が終わると奥に向かった。奥のフロアにはオーク達がいた。恐らくはクモと死闘を繰り返していたのだろう、その数は多くなかった。オーク達はゴブリンとは比べ物にならないくらい強い。

俺の長剣とローラのナイフで1匹ずつ確実に屠って行った。最後のオークを倒したら目の前に

分厚いドアがあった。


ドアを開ける前に俺は鑑定をかけた。


名前 海崎 健斗 種族 人間 レベル17 HP78/103 MP685/1238 スキル 刀術Lv.3 剣術Lv.4 槍術Lv.2 鑑定Lv.1 火魔法Lv.3 称号 慈恩流免許皆伝、火妖精との契約者、ローラ王女の番(仮)


名前 ローラ・ハルシュタット 種族 猫獣人 レベル17 HP119/136 MP56/56 スキル 短剣術Lv.4 剣術Lv.2 短弓術Lv.2 宮廷作法Lv.3 言語理解Lv1 称号 第一王女、二刀流短剣術の達人、海崎健斗の番(仮)


俺は初級ポーションを一本開けた。そのポーションをぐいっと飲み込んだ後、ドアを開けた。


ドアの向こうにはオオカミがいた。もちろん絶滅したとされる日本オオカミではない。それよりも大型のダイア・ウルフだった。

真っ白な毛並みの4頭のオオカミが悠然とこちらに向かってきた。


(あ、これ。ソロだったら死んでいたかも。)


ダイア・ウルフ達は統制の取れた攻撃を連続してくる。

俺たちは二人でそれに対抗していた。


ローラが防御してくれている間に俺がファイアボールを打つことによってやっと、ダイア・ウルフを少しずつ倒すことができたのである。


それで2頭のダイア・ウルフにトドメを刺した後はダイア・ウルフの連続攻撃はなくなり、個別攻撃となったので、それぞれ一頭ずつ倒したことでボス部屋を制覇した。


上の階と同じように宝箱があり、下に続く階段があった。


「ローラ、宝箱を開けてみよう。」

「ええ」


宝箱の中には色の違うポーションと短弓が入っていた。


短弓を鑑定すると「正確性の短弓」ということで魔法のかかったものである。ポーションは中級体力回復ポーションと初級魔力回復ポーションであるらしい。


「じゃあこの短弓はローラが持って。」

「いいのですか?」

「俺は弓を使えない。」


ローラは嬉しそうに短弓を取り上げて矢筒とともに背中に背負った。

俺はポーション類をリュックにしまい込んだ。


「さあ、今日はこれで家に帰ろう。」

「家、ですか?はい、そうしましょう。」

俺たちは上に上がってダンジョンを出た。家に入ろうとして、よく考えたらローラがそばにいる。


「ローラ。家に帰らないのかい?」

「もちろん、あなたの家が私の家ですわ。旦那様」

俺は玄関のドアに頭をぶつけてしまった。

「え?あなたは王女だからお城に帰るんじゃないの?」

「私が旦那様と離れるなんてあり得ません。」


俺って何か間違えただろうか。


そんなことを言ってももうついてきたものは仕方がないので彼女を家にあげることになった。

俺は最初に風呂場に行ってシャワーの使い方をローラに説明した。

「えー私は一人でお風呂に入るのですか?旦那様も一緒にお風呂に入って欲しい。」

ローラはそういうが、不純異性交遊は却下である。

「俺には夕食の準備があるからね。お風呂は一人で入って。」

俺はガンとして二人で一緒にお風呂に入るなんていうことは断って着替えとして、俺のお下がりのトレーニングウェアを置いて台所に行った。

今日は豚の生姜焼きである。


フライパンで豚肉を焼いて野菜サラダを盛り付けていたら、ローラがお風呂から出てきたようである。

「この服、旦那様の匂いがします。もう私は旦那様のものですね。」

しまった。新品を渡すべきだった。

ローラはまるで猫がまたたびを食べたかのようにふぎゃふぎゃ言っている。


「俺も風呂に行ってくる。覗くんじゃないぞ。」

俺は慌てて風呂場に行った。

シャワーを浴びていると「旦那様、お背中お流ししましょうか。」と言いながらローラが風呂場のドアを開けてきた。

「だ、だからいらんと言っているだろう。そ、その扉を閉めろ。」

声が上ずっているのは自分でもわかる。

俺は必死で大事なところをタオルで隠して風呂場の扉を閉めた。


俺が風呂から出ると、夕食を始めることにした。


ローラはテーブルマナーはしっかりできており、ナイフとフォークは上手に操っていた。


(お箸でご飯と味噌汁を、だったらパニックだったかもしれん。)


俺も食べていると横からローラが「はいアーン」と何度もいってくるのでローラの方を見ると、一口大に切った豚肉をフォークで刺したローラが待ち構えていた。

問答無用で俺の口に豚肉が放り込まれた。

すると、今度はローラが口を開けて「私にも、アーン」と言ってくる。

もう俺の理性は焼き切れそうである。まだ中学校を卒業したばかりの純情ボーイにはこんな上級テクはないはずなのだ。

なんとか豚肉を小さく切ってローラの口に放り込んでやる。

ローラは満足そうに口をもぐもぐさせた。


周りをサフルがぶんぶん飛び回って「よっ、色男!」とか「モテる男は違うねえ」なんて散々に囃し立てているのが聞こえるが、もう返事をする元気もないというのが正直なところである。


夕食を終えると、リュックの中身の整理である。それから長剣のメンテナンスとしてこびりついt血糊をよく拭いて磨き上げ、砥石で磨いた。ローラのナイフも出させて同じように砥石でメンテナンスしてやる。

「旦那様ってなんでもできるのですね!」

ローラはキラキラした目で俺の方を見てくる。


それから、獲得した宝石(これは鑑定すると魔石と表示が出た。)を大きさに分けてビニール袋に入れて金庫に保管する。スライムやゴブリンの魔石は小さかったが、オークやダイア・ウルフの魔石は少し大きい。

鑑定すると、少し大きい魔石は「小魔石」ということになる。


ポーションも同じように分類しておく。今回は中級体力回復ポーションと初級魔力回復ポーションが出たので効果の確認をやらなければならないだろう。


その後は怪我がないかどうかの確認である。

大きな怪我はなさそうだけれど、小さな傷があるかもしれない。

ローラは「小さな傷など舐めておけば治ります」というが、仮にも王女様である。きっちりと確認しておいたほうがいいだろう。

まあ、傷を見ているだけなのに、ローラが体を密着させようとしてくるので俺は常に理性を試されることになったわけだが。


そういうことを全て終えてから俺は布団を敷いた。もちろん二組である。

二組の布団を見て、果たしてローラは俺と一緒に寝たいと駄々を捏ねてきた。

「ダメです。俺はこの布団、ローラはこっちで寝てください。」


「じゃあ手を繋いで。」

そう言ってローラは俺の方に手を出してきた。

これくらいは許容範囲だろうか。

「わかった。手は繋いでやる。その代わり大人しく寝るんだぞ。」


そう言って俺は電気を消して布団に入ったのだった。


手を繋いで寝るなどということは初めてのことだったので俺はかなり緊張したが、多分、ローラも疲れていたのだろう、もう5分もしない間に彼女からはすうすうという寝息が聞こえてきた。

その寝息を聞いている間に俺もいつの間にか眠ってしまったようである。

ここでカクヨムの分と話数が揃うので明日からは1日1話でお許しください。

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