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帰宅に向けて

ローラがルシーダ姫に話をしにゆくというので俺もついて行かされた。と言っても俺はあくまでも付き添いなので単なる置き物と変わらない。

ローラに「私たちの高校に留学しない?」と言われたルシーダ姫は盛大に「あの、その、はわわ」と目を白黒させていた。けれど、ローラが「学校にはわた湿地だけじゃなく勝太郎もいるのよ。」と言うと、彼女は体を硬直させたように姿勢を正して、消え入りそうな声で「はい」と言ったのであった。

いや、俺は置き物だったから何も喋らなかったけれどね。


ローラはすぐにソーフィルク王国の大志を呼んでルシーダ姫の留学について打診した。彼はお話はお伺いしました。様々な確認事項が必要でしょうと言って慌ただしく出ていってしまった。


その後に行われた流退治の祝賀のための晩餐会では勝太郎とルシーダ王女は出席しなかったが俺とローラと清子、それに親父は出席した。


女王はもう上機嫌であった。俺たちを順番に呼んで龍退治のお礼を言ってくれた。そして親父に向かって友好条約の締結を約束してくれた。最初に来た時には懐疑論や反対の人も居なくはなかったが、今日は女王の言葉に対して一斉に割れんばかりの拍手が起こったのである


次にソーフィルクの大使が王様に代わって龍退治のお礼を言ってくれた。その時に正式にルシーダ姫の我が校への留学について言ってくれた。

どうやら姫君の留学も正式に決定されたようである。


俺たちは勝太郎の回復を待つために更に3日ほど城にとどまった。

その間に俺はローラと一緒に王都でデートをしまくったのである。

いや、一応、清子も誘ったんだよ。でも清子は卵を孵すのに忙しいからといって断られてしまった。


実際、彼女は剣の修練をする時以外はドラゴンの卵にかかりきりになっている感じである。俺はちょっと寂しいけれど、ローラはご機嫌である。


王都では瑠美のためにお土産を買って帰ろうということでいくつかの店を回った。

結局、可愛い感じの刺繍が入ったシルクのハンカチを瑠美と宮本先生の研究室の面々、生徒会の面々に買って帰ることに決めたのである。


師匠には竜の鱗だなと親父が言うので竜の鱗や骨などの素材ももらって帰ることになった。親父が言うには将来、鎧や武器などを作る時には竜の素材を使うと段違いに性能が良くなるのだそうである。


俺は何のことか全くわからないが、親父の言うことを聞いておく方が良さそうだと言う予感がしたので大人しく親父に従ったのである。


ギリド王子は「あんな大きな竜だったのです。素材はたくさんありますから遠慮せずに持って帰ってください。」とニコニコして言うので持ち帰れる分を持って帰ることにした。

ロドリーゴ兄弟は持ち運びを手伝ってくれると言うので師匠には一番大きな鱗を贈ることにした。


数日経つと勝太郎も軽く剣を振れるくらいまでには回復したので俺たちは帰宅することになった。

馬車に乗る時に勝太郎は初めてルシーダ姫が一緒にゆくことに気がついて硬直していた。

ローラと共謀して勝太郎の横にルシーダ姫を座らせたのだが、この二人は相変わらず勝太郎が硬直しており、ルシーダ姫はほっぺと耳を真っ赤にしながら俯いている。


ルシーダ姫には日本に来るに当たって「変化の術」のスクロールを使ってもらった。

これで彼女の長い耳は人間っぽく丸い耳にすることができるはずである。

言語理解はすでに諸国を歴訪するときに手に入れていたようだった。


馬車であの扉のところにゆくと、扉の周りを囲むように塀が作られていた。

「これは一体?」と親父に聞くと、ハルシュタット王国側の入出国審査の建物になるらしい。


日本側はダンジョンの中に入出国審査の施設を建設する予定らしい。

「今後はパスポートを持たないとハルシュタットには行けないのか。何だか夢がないなあ。」

俺がそう呟くと親父は「こういう話は国家権力を介入させないと余計にややこしくなるからな。このダンジョンも国有になるから踏破するなら急いでやっておけよ。」という。


そんな話をしながら俺の家に辿り着いたのはもう夕方になっていた。


師匠と瑠美が来ていて、みんなの分の食事を準備していた。まあすき焼きである。


大人数でのすき焼きなので結構わいわいと楽しんでいる。

ロドリーゴ兄弟もパクパクと肉を食べているようである。


勝太郎は隣にルシーダ姫が座っていることを気にしてかあまり食べていない。

俺が「勝太郎は横にルシーダ姫がいるからあまり食べなくていいからな。」というと、横のルシーダ姫が「まあ、勝太郎様。私に遠慮などなさらずどんどん食べてください。」というが、それを聞いた勝太郎はむしろ硬直して「は、はい」と言うだけで固まっている。


ローラはルシーダ姫の横に行って「お肉を食べなくてもお野菜や豆腐もありますからね。」と言ってルシーダ姫のためによそってあげている。

「は、はわわ、ルシーダ姫様にこんなことをしていただくなんて。」

ルシーダ姫はまた百面相をしている。

横では勝太郎がシャチホコばって座っているというあまりみられない珍妙な光景が展開されているのであった。


食事の後に俺は師匠にあの竜の鱗を贈った。

予想通り師匠は目を白黒させて驚いてくれた。


瑠美には綺麗な蝶々が刺繍されているハンカチを贈った。

彼女はハンカチを胸に当てて嬉しいって喜んでくれた。


その夜はもう雑魚寝でみんなで眠ったのである。


翌日の朝には東京に発つと言う親父を師匠が送ってゆくことになった。


残った俺はみんなの鑑定を行ったのである。


名前 海崎 健斗 種族 人間 レベル30 HP181/181 MP2163/2163 スキル 刀術Lv.8 剣術Lv.5 槍術Lv.3 鑑定Lv.3 言語理解Lv.2 探索Lv.2 火魔法Lv.8 風魔法Lv.1 称号 慈恩流免許皆伝、火妖精との契約者、ローラ王女の番、鴉天狗、火魔法の達人、鬼退治、龍退治の英雄


名前 ローラ・ハルシュタット 種族 猫獣人 レベル30 HP256/256 MP150/150 スキル 短剣術Lv.8 剣術Lv.2 短弓術Lv.5 俊敏性Lv.3 宮廷作法Lv.3 言語理解Lv.3 称号 第一王女、二刀流短剣術の達人、海崎健斗の番、鬼退治、龍退治の英雄


俺とローラはレベルが30になっていた。

龍退治の英雄は全員に称号が付与されていた。 


名前 布留那 勝太郎 種族 人間 レベル25 HP200/200 MP 72/72 スキル 刀術Lv.5 剣術Lv.2 体術Lv.4 言語理解Lv.1 称号 布留那一刀流嫡男、鬼退治、龍退治の英雄


名前 北畠 清子 種族 人間 レベル24 HP145/145 MP 245/245 スキル 刀術Lv.6 剣術Lv.2 体術Lv.2 水魔法Lv.2 言語理解Lv.1. 称号 無想神念陰流後継者、鬼退治の一員、龍退治の英雄


名前 ルシーダ・エル・ソーフィルク 種族 エルフ族 レベル19 HP75/75 MP 856/856 スキル 戦槌Lv.3. 短剣術Lv.2 長弓術Lv.4 言語理解Lv.2 鑑定Lv.1 探索Lv.1 宮廷作法Lv.4 変化の術Lv.1 聖魔法Lv.3 白魔法Lv.4 称号 ソーフィルク王国第二王女、聖なる癒し手、龍退治の英雄


ルシーダ姫は聖なる癒し手と言う称号持ちであるらしい。また、聖魔法と白魔法の使い手でもあるようだ。

これを考えると、勝太郎を癒したのはやはり彼女の癒しの力ということなのかもしれない。


瑠美が帰宅した後は、俺たちであのダンジョンの党派を目指すことにしたのだった。

清子も龍の卵をうちに置いてダンジョンアタックすることに賛成して、以前に到達した地下7階から更に下の階を目指すことになったのである。


ダンジョン内では勝太郎とルシーダ姫は俺たちの目が気になるからかくっ付きたがらないのでローラがルシーダ姫係のようになってしまい、俺と清子がくっつく感じになって勝太郎は一人になることが目立ったのだが、俺がローラからルシーダ姫を離してやろうかといっても頑固にこのままでいいと言い続けたのである。

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