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魔法使いの断末魔  作者: 鯖承まどか
魔法使いの終結譚:第四章 氷術の君主編 後編
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作戦決行の鐘④-027

第二十七話作戦決行の鐘④


 これは、昨日の夜のことだ。俺はしばらく眠れず、牢屋越しに夜の光を見つめていた。


「はぁ…眠れない…。今日は色々なことがありすぎた…」


「すみません…巻き込んでしまって…」


「詩、詩姫!?起きてたのか…」


「ええ、監視役なので…」


 詩姫も同じく、夜の星々たちに目を奪われていた。 


「やー、ええなぁ…。青春ってかんじやな〜」


 突然、謎の関西弁が俺の耳に入った。


「詩姫…キャラ変でもしたか?」


 おかしな口調を疑問に思う。


「いえ…今のは私ではなく…」


 すると、俺に長い竹のような物がビダンと当たる。


「なっ!?」


「やあ、詩姫がお世話になってます!僕は狂塁!よろしゅう頼むで!!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「という感じだ…」


「理解不能だな!!」


「弓が……し、喋ってる…」


 

 羅雲は氷を自ら破壊し、笑みを浮かべる。


「ほう、面白い…気味の悪い弓から破壊させてもらう」


 羅雲は思い切り走り、ここまで向かってくる。


「生き急いでんなあ…やるで!詩姫ちゃん!」


「はい!!」


 羅雲は詩姫に刀を振るう。


「氷奏…桐夜きりや…」


 思い切り振り下ろしたその刀と詩姫の放った刃がぶつかる。


「やっておしまいや…。」


「戒…」


 一瞬の光を放つ。


〝ドガァァァンッッ〟!!


 その弓は冷たい爆発を起こした。


「ぬわぁぁっ!!」


 なんだ…弓の技か!?というより、矢が爆発したような。

 


「ぐっ…」


 氷の粒の中からは右手を飛ばされた羅雲が片膝をついていた。

 最初に俺に放った技だとは思えない。あれが詩姫本来の実力なのか!?


「…貴様…氷の壁で自身は爆撃から逃れたな?」



 おそらく氷を操る力…それがあの弓の効果だろう。


「これ…詩姫さんだけで、倒せるんじゃ…」


「そうだな…だが…ここは連携しよう…詩姫!矢を放て!!」


 詩姫は素早く羅雲に矢を向けた。


「はぁっ!!」


 矢を五本…一度に放つ。冷気を纏いモヤを放つ。


「目眩しのつもりか…こちらは…目はいい方でな…」


「今だっ…」


 〝シュッ〟右拳を羅雲に向けて攻撃した。



「気づいておるわ…」


 さすがに受け止められることはわかる。


 すぐさま左拳…。連撃を与える。


〝シュッ〟〝シュッ〟


「早いな…一撃、一撃が丁寧だ…だがな…」


 腕の刀を回し、風圧を起こす。くそ…体制が保てない…。


〝ドシャァッ〟


 黒い影が風圧を消す。杖を向けたのはサリムであった。


「い、今です!!」


 羅雲の後ろに回り込み、蹴りを入れる。


「おらぁぁ!!」


「ちょこまかと…」


「私もいます…氷奏…桐夜…」


「…またもや爆破技か…!!」


 羅雲は刀を構え、矢が向かってくるのを待つ。


「ここだぁ!!」


 緋色の一閃を放つ。


「皆さん!耳を押さえてください!…戒…」


 そう、詩姫は俺たちに言う。

 

 〝キィィィィィィィン〟!!!


 あたりに氷を擦るような雑音が響いた。

 詩姫は騙し討ちを行ったのだ。


 氷奏…。狂塁を使役する詩姫だけが使える技である。

 技の種類は五つ、流麗、桐夜、妃美鬼、胡浦、亜義徒。


「ぬぅぁぁぁぁぁあ!!耳がっ!!」


 音響攻撃の妃美鬼ひびきは不快音を発する技である。

 詩姫の後ろに立つのは魔力を込めた手を羅雲に向けるサリムであった。


「いけぇ!!サリム!!」


 羅雲が悶えている間。サリムは溜めていた魔法を素早く放った。


「ゼビロボ!!」


「ぐっ…貴様ぁ…まだまだ…」


 黒焦げになった羅雲は立ち尽くす。

 ここまでやったと言うのに…。こいつは魔族だ落とした腕も再生する。


「ふっ…ここまでだとは思っていたなかったよ…特に詩姫…なぜ貴様にあの呪いをかけなかったかわかるか?」


「強さ…でしょうか?」


「いいや……違うな…忠誠心だ…」


 口角をあげ、羅雲はそう言った。頼陣家兄弟たちは全員特異魔法を持つと聞いた。


「封薇もお前と同じで特異魔法を持たなかった。だからあの呪いを与えた…。

残念なことに特異魔法は得たが適応しなかったがな…。だが封薇には忠誠心があった。」



 やはり、この男は最悪の魔族だ。家族を道具としか思っていない、支配で子供を良いように使う…。


 詩姫の表情に怒りは見えなかった。


 ……だが隠せていない恐ろしい殺気を超えた何か。まるで鬼だ。


「いい目をするようになったな…詩姫…私もお前に答えるとしよう!!」


 すると、羅雲はまたもや腕に呪いを込め始めた。

 

「お、おい!貴様!!……っくそっ!!」


 羅雲はまた自身に呪いをかけた。


 一瞬のうちで羅雲は人の形を捨てた。


 

「なんだ?」



 静けさを残した声。青白い肌。刀と同化した腕。


 人間ではない。


「超越魔族…三つの心臓を持ち、最強の魔力を持つ…。第一魔法戦術…クロウド…」


 

 羅雲は背を向け、手を天井に掲げた。


「この部屋は今から飛ぶ…」


「なんだと?」


 すると、大きく地面が揺れた。天井が近い…。この部屋…浮いているのか?


「シルバリア!!皆さん入ってください!!」


 俺たちはサリムの作ったバリア魔法へと向かう。


 天井をどんどんぶち破って行く。

 羅雲はなんともなさそうに、言葉を吐き続ける。


「面白くなってきただろう?最後の戦いは天空だ…」


「氷奏…」


「貴様は、面倒だ。第七魔法戦術…ワープホール…」


 羅雲が放ったのはワープ魔法。詩姫は黒いワープホールに吸い込まれた。


「なっ!!」


 壁をぶち破っていき、地下室は上へ上へと向かってゆく。


 本家を壊し、空へとまだまだ浮遊してゆく。


「始めようか……」


 

 気づけば青い空の上。そこは浮く地となった。


「こい…魔族…」



つづく

 

狂塁:詩姫が昔に出会った弓。なぜか関西弁だが、エセである。

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