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魔法使いの断末魔  作者: 鯖承まどか
魔法使いの終結譚:第四章 氷術の君主編 後編
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作戦決行の鐘①-024

第二十四話:作戦決行の鐘①


「この本とっても面白いよ!」


 友が俺を呼ぶ。友のおかげで俺は色々なものが知れた。

 人間は素晴らしい、愛や個人個人の感性。これほど美しいものはないと思う。


「今すぐ行く!!●●!!」



「……っ…」


 また夢だ。いつからかこの夢を見るようになった。

 友は俺と顔が瓜二つであった。


「本当に意味がわからない夢だ」


「フィナシェ様、起きましたか…。」


「詩姫か、おはよう」


 最後に起きたのは俺というわけか。別行動の奴らはとっくに外のようだ。


「フィナシェ!ぐっすりと寝ていたな!これで今日という日を乗り切ろう!!」


 そう黒猫は語りかける。いいやラスティか。


「うっうぅぅ…」


「それよりも…その目隠れ女大丈夫なのか?」


「だ、大丈夫でしょう!ご飯はたくさん食べていましたし」


「だが朝から泣いているな!!」


 本当に無理やり過ぎて可哀想では…と思い昨日師匠に聞いてみたが…。


昨日の夜ーーーーー


「あの子?あー、なんか魔力量がやばいのよね。あとバレずに魔力抑えているのもわかるから、並の魔法使いじゃないわ…」


 


 …とか言っていたし、大丈夫だろう。

 なんか逃げないし。


 マリーが人を巻き込むのはオハコに近い。


「では、行こうか…」



 俺たちは昨日と同じく、陣頼家本家へと足を運ぶ。

 今回は縄を結ばれるような手荒な真似はされなかった。


「昨日は留守にしてすまなかったな」

 

 裁判官席に座る羅雲はそう言う。


 ナズーク王国で大島とコンタクトをとっていたのだろうか。


 今回の目標は、とにかく師匠たちが行動を起こすまで持ち堪えることだ。


 師匠とワーズはナズーク王国に素早く行けるように村ぎりぎりの場所で待機している。


 師匠の魔力放出のピーク時は昼らしい。そういう制約魔法を使ったのだか。

 それほどのことをしなければ大島には勝てないのだろう。

 

「ちっ、こんなやつ死罪にしちまえよ!」


「兄さん、見た目だけでは判断したは駄目じゃないか!!」


 光根はそう言う。一応ラテとサリムは外での待機だ。


「まあ、武楼…落ち着きなさい、今日はワーズ君はいないのか?」


「王国に買い出しと聞いています」


 素早く詩姫は答えた。さすがだ、対応に関してはかなり任せているところがある。

 

「ワーズ様…いないのですか…」


 陣頼封薇は少し悲しそうな感じだ。というか(ワーズ様♡)と書いてあるうちわを持っていることに誰もツッコミを入れていない。


「とにかく、今回は証拠を持ってきた。」


「ほう、証拠とは?」


 俺は紙の束を羅雲に見せつけた。

 それは、俺が昨日村民たちに書かせた、俺の無実表明。


「ほう、武楼を殴ったのを見た目撃者に殴った犯人の顔を描かせたのか」


「お、おい、殴ったのはお前だろ!!」


「武楼兄様、裁判とは理屈で解決するのです。まずはお父様にこの証拠を見せましょう」


 そして、羅雲はペラペラと紙をめくる。


「…なんだこれは…多くの絵にメガネが描かれているな…それも顔が似ていない」


 まず証拠一つ目、これは悪いがハルキィがやったということにした。

 村民に団子を奢るといい話をつけたところ俺たちに協力してくれた。


 ハルキィ…本当にすまない。


 だが武楼は当事者…。ここが難点だ。


「違うぜ!!こいつは俺が殴ったやつだぞ!!!名前は知らねーけど!!!」


 武楼は戸惑う。正直こいつの証言さえどうにかすれば俺たちは有利になる。


「では、武楼、これ以上に私を納得させる証拠を持っているのか?」


 羅雲はそう言った。


「そ、そりゃ、あの時には頼陣家の傘下だっていたし、なんなら詩姫!お前もいただろ!」


「……すみません、私は武楼兄様に暴行を加えたという情報しか知りません。兄様がフィナシェ様に暴行された様子は見ていませんでしたので」


「くそ…じゃあ、傘下供!見たよな!!」


 そう言ったが、傘下たちは無反応。


「は、はぁ!?、テメーらまで!!」


 そうだ、あの時を思い変えせば、順序はこう。


 武楼がハルキィに暴行した。

 ↓

 俺が武楼を脅かした。

 ↓

 村民たちが騒ぎ、近くにいた詩姫の耳に入り傘下供とこちらへ来た。


 だからつまり、この状況を見たのは村民たちと武楼だけ…。

 詩姫や傘下どもは俺が何かをしたと言う証言を言えない。


「そうか…それなら武楼の言い分は聞くことができんな…」


「はぁ!?くそっ、じゃあ、あの紫髪の男はどうだ!!」


「武楼兄…ワーズ様は関係ないよ?ワーズ様をこれ以上この無様な裁判に巻き込むなら。殺すよ?」


「なんかお前喋れるようになってから、辛辣じゃねぇか!?」


 よし、かなりいい戦況に持ち込むことができた。


「お父様、どうでしょう…フィナシェ様はこのように武楼兄様よりも確実な証拠を持っています」


 詩姫は真面目な表情でそう答えた。手を頬につける羅雲は表情を一つ崩さなかった。


「そうだな……この話を聞くに…フィナシェくんは無実のようだ……。だが…それだけじゃ開放できないなぁ…」


「…は?」


「なぜです!!納得していただいたのならば…」



「足りないんだよ……好感度が…」


 そう暗い顔で告げる。


 …やはり、結局は法なんてものは通用しない。

 ワーズのように頼陣家から好かれるようなことをしなければならないのか…。


 時間稼ぎまであと数分…。少しでも裁判を長引かせねば。

 

 すると、光根が手を上げた。


「僕は見たよ、フィナシェくんが村へ来る時…。ゴーレムを倒していたのを…。いやー、僕ほどじゃないけど…勇敢でクールでかっこよくて勇気のある行動をしていたよ…。」


 …ハルキィと会った、あの時のことか…。


「ほう、たしかに…光根はこの村の監視役、いつも見張り台にいるな…。


「それが事実ならば、実質的に村を守った…功績です!」


 詩姫そう言った。


 聞いてないぞ。これは…隠し玉か?


「だけど…光根兄しか見てないんでしょ?」


 封薇は光根に言った。


「それもそうだな…。光根…あれを使って証明して見せろ」


 そう羅雲は言った。


「いいだろう、特異魔法発動…。

〝眼響創世〟…僕が目にした思い出を放映する能力さ…」


 そこには俺がゴーレムと戦っていた様子が映し出される。

 こいつ、特異魔法を持っていたのか。


「ほう、これは…本当だ…。間に合わなければあの少年も殺されていたであろう…。」


 光根は俺の方を向きウィンクをする。

 

「これでも納得行かないのかい?お父様。」


 羅雲は目を瞑り、考える。


「そうだな…これは…無罪としよう」


「よし…。」


「やりましたね…。」


 光根と詩姫は小さな声でそう呟いた。


「くっ、くそがぁっ…」

 

 武楼は不服のようだ。まるでタコのように顔が真っ赤になっている。


 よし…なんとか疑いを晴らすことができた…まあまあ捏造したが。時間稼ぎもちょうど良い。

 詩姫と光根は喜びを言葉には出さず、微笑んだ。


「素晴らしいよ…フィナシェ君…。疑ってすまなかったよ…詫びさせてくれ」


 そして、羅雲は頭を下げた。正直本音で言っているかはわからないが…第三審を残して無罪を証明させることがでいた。


 その途端、羅雲の声色が変わる。


「だが…そろそろ始まるか…」


 羅雲はそう一言。

 すると、陳列している頼陣家たちが立ち上がった。

 なんだ…武器を持ってやがる。


「君たちの努力は認めよう。だが正直茶番はここまでにしておきたい…。いいかね?」



 〝ドガァァァンッッッ〟


 外で爆発音が響いた。師匠たちの合図だ。


 いつのまにか羅雲や頼陣兄弟たちも消えている。


「やってしまえぇっ!!」


 武器を持つ集団たちが一斉に襲いかかった。

 詩姫は弓を構える。


〝ズシャァッッ〟横から攻撃が繰り出された。


「炎壊…一本打ち!!」


 部屋の壁を突き破り、刀による一閃が傘下たちを切り裂いた。


「ラテ、ナイスタイミングだ!!」


「ここは、僕たちに任せて!詩姫姉さん、みんなをあそこに案内するんだ!!」


「わかりました!どうかご無事で!!」


 そして俺とラスティ、サリムは詩姫についてゆく。


「うぅ…走るの辛いですぅ」


「頑張るんだ、サリム!!ファイトオー!!」


「すぐそこの階段を降ります!」


 頼陣家本家の中は複雑らしい…秘密の地下室があるとか。


「その秘密の地下室になにがあるんだ?」


「わかりませんが…お父様が絶対に入るなと言っているので、おそらく何かがあるのかと…」


 とにかく今は詩姫についてゆく。

 



ナズーク王国…城内ーーーーーーーーーーーー


「よし、ついたわ…出てきなさい!!」


 暗闇から、一人の男が静かに向かってくる。


「おお…本当に大島さんだ…マリー構えろ」



「ふはっはっはっ…。来たか…我が対戦相手よ」


 不気味な笑い声からは二人には想像できなかった。

 これが…あの大魔導師大島だと…。


「…強い者との戦いに飢えていてな…。」


つづく

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