旅路で再開②-023
第二十三話:旅路での再会②
「頼陣家には多くの人がいます。その中でも私たち兄弟は強い権力を持ちます。」
詩姫が俺たちに説明をする。まさか椿が頼陣家だったとは…。
妹が君主だと知っておきながら何も言っていなかったな…あいつ。
師匠、ラテたちに今の現状。そして、ワーズのことなどを説明した。
「信じかたいことばかりだが…こんな感じだ」
一番驚いているのは師匠であった。
「大島さんが敵って…正直絶望的すぎるわ。」
「俺もイマイチ大島って奴のことを知らないからなんとも言えないが、マリーが言うに結構やばいんだろうな」
ラテはそう言った。
そして、見覚えのない二人は俺の話をじっくり聞いていた。
「…その目隠れ女とキラキラ男は一体誰だ…」
「えっとサリムです…私にはお構いなく…」
サリムというらしいが…なぜこの場にいるのかは知らん。
だが……なんか知っているような。
「僕は、頼陣光根さ!簡単に言えば、神の救世主の天性の天照の…」
「光根は私の一つ下の弟です、頼陣家唯一の良心でしょうか…女たらしという性格を除けば…」
この光根という男が協力してくれると言っていたが…。
悪いやつではないのだろう、第一印象はウザいが。
「というか、詩姫が見つかったんだから、結婚争奪戦参加しなくてよかったな」
「そうね、フィナシェがもう見つけてくれているとは…詩姫ちゃん、村を救いたいなら私も協力させてほしいわ!」
「いいのですか!?」
「ええ、孤高の乙女なんて見過ごせないわ!」
「さすが、姉さん!」
知らぬ間、俺の隣に奴がいた。
「いつの間にいた、ワーズ!!」
「みんなの場所くらいわかるさ、こう大人数で固まっていたら尚更……」
マリーがワーズの肩をつかむ。
「ワ、ワーズ…本物なの?」
師匠はワーズをじっと見つめる。
「そうだよ!マリー、おひさ!」
ワーズは陽気な様子でマリーに語りかける。
「…ワーズ……あなた…」
マリーは涙を浮かべたのだろう、目を手で塞ぐ。
「ごめんね…ワーズ、会いたかったわ」
「マリーこそ、生きてて良かったよ」
「感動の再会ですね…」
「あぁ…そうだな」
よかったな、師匠。兄弟の再会だ、これほどうれしいことはないだろう。
…なぜだろう、邪気を感じる。
「本当に…本当に…よくも、私の杖売ってくれたわね!!」
「え、」
〝シュンッ〟〝ドガァンッ〟
白い閃光がワーズの横を過ぎ去ってゆく。
気づけばマリーの右手には杖がある。
「お、おい!なんだ!!」
マリーは怒りの目だ。弟を見る目じゃない。
皆は驚く。
杖を売ったって…。なぜ今喧嘩する!?
「なんだよマリー、お前の兄弟じゃねーのかよ!」
「ゼビロボって…魔族に放つやつじゃん…マリー…ごめんって…フェニックスからもらえるお小遣い少ないからさー!」
「窃盗罪よ⭐︎」
ワーズは今までに見せないような恐怖の表情をした。
「まって!!」
「取り返すのにどれだけ時間かけたと思ってるの!!…ブラックバズーカァ!!」
〝ドッカァァァァンッ〟
ワーズは店ごと爆撃されたのであった。
というか、あのオークションで盗んだ杖。ワーズが売ってたのかよ。
「こ、ころさ…ないで…」
「殺す?私にこれから拷問で一生苦しむよりかはマシじゃないかしら?」
なんと言う…しょうもない争い。師匠は元から馬鹿だと思っていた。ワーズもあった瞬間から馬鹿だと思った。
これが馬鹿兄弟同士の喧嘩か。
「おいおい、驚きの愕然の修羅場になっているじゃないか!どうなっているんだいこれは!!」
「みんな巻き込まれるぞ!」
〝シュッ〟〝シュバッ〟
マリーが放つゼビロボをワーズは華麗に避ける。
なんていう身のこなし。ワーズはマリーからターゲットを変え、俺らの元へ来る。
恐ろしく早い動き…ワーズは俺たちの前で土下座をして言った。
「みんな!お金貸して!!」
※お店はマリーが直しました。
ー三時間後ーーーーーーーーーーーーーーーー
「よかったな、三年間猶予もらえて」
「ま、まあ金貨七百枚は結構きついけどねー…」
「当たり前でしょうが!!」
とりあえず喧嘩は終わり、今後の動向などを皆で考えた。
結果、やはり羅雲の正体を暴き、大島の複製体を倒してナズーク王国を救うと言うものになった。
作戦はこうだ。まず勝利条件は複製体大島の討伐。そしてこの村の村民たちに自由を与える。
決行は明日の昼方。第二審の裁判を受けている間、マリーが魔法攻撃で地震を起こし、村民の目を引くところから始める。そして複製体大島へ奇襲しに行く。
その後、複製体大島とおそらく関係がある羅雲に呪いの実験やらを問い詰める。
羅雲とは、できれば話し合いで済ませたいと思うが、穏便に終わらせられるかは俺たち次第。
「とりあえず三チームに別れよう」
そうワーズが提案する。
この作戦で三つのチームに分かれることにした。
まずはナズーク王国の大島討伐のチーム。マリー、ワーズの二人だ。やはり攻撃特化の二人、実戦経験も豊富だからだ。
次に頼陣家を食い止めるチーム。
メンバーは光根、ラテだ。羅雲に戦いの対象を向けるとしたら必ず脅威となる。だから戦いが起きた時その二人は時間稼ぎをする。
「協力ありがとうございます、光根…」
そう詩姫は言った。
「いいんだよ!この村の麗しき美麗な可愛いスパーキューティーな女性方々に村の外というものを知ってもらいし!!」
そして最後、この村の真相を探るチーム。
メンバーは俺、サリム、ラスティ、詩姫の三人と一匹だ。
「わ、私もなんですか!?」
サリムは不安げに言った。俺自身、こいつのことはよく知らないが。
マリーは笑って言う。
「いいじゃない!お団子奢ったんだし!別に戦うことはないわ!」
完全に利用しているな、まあ味方が多くいるに越したことはないが。
「とにかく明日の決行まで、各自武器の手入れ、フィナシェくんは僕と明日の裁判についてを考えよう!」
「わかった、ワーズ。」
「じゃ、みんなでこの村救うわよ!!」
ナズーク王国ーーーーーーーーーーーーーーー
「奴らが動くな…。羅雲…手加減はするなよ?」
「わかっているとも、それはそうと、凄まじい魔力感知だな…。数キロ離れた人間の会話を正確に聞くことができるとは…」
暗闇の中で二人は笑っていた。
「そりゃそうだ、この身体は大島のもの。俺自体生み出された時から学習機能が壊れていてな…大島とは別の自我が元からあったみたいだ。お前の好きな進化…かもしれんな。」
「ふっ、やはり世界で一番大切とされるのは進化…。クロマゲがあれば五百年かかると言われる人間の進化を早めることができるな」
「ああ、クロマゲ…頼陣家古くから伝わる呪いなどと…。その呪いは適応しない者は力を奪われ死んでゆく…。だがもしその呪いが適応すれば…新たな特異魔法を得ることができる…。
そして魔力の過剰摂取による…魔族化…。」
「実に面白いよ、魔王軍の力で人間をイビルとして改造することは可能だと言っても。魔物化はできなかった。クロマゲの呪いをナズーク王国の国民たちにかけて魔族たちを増やす…。恐ろしいが面白い…」
深淵の影の中。二人は闇に消えてゆく。
つづく
マリーが壊したお店は世界最高峰の団子屋である。




