ヤキザケ村と頼陣家③-018
第十八話:ヤキザケ村と頼陣家③
「フィナ……シェ……ッ」
そこで俺の友は血を吐き倒れた、右手には魔法で生成された剣…。
俺が殺したのだ、友は俺のせいで死んだんだ。
「……また悪夢を見た」
目覚めると空気が薄く、寒気を感じる一つの小部屋だった。
これで六回目くらいだ。
この夢に出てくる友というのは誰なのかは自分にはわからない。
もしかしたら記憶をなくす前の俺が見た光景だったのかもしれない。
そんなことを一人でに考えていると、前から声が聞こえた。
「起きましたか…」
目の前には詩姫一人が立っていた。
最悪だ、力は出せるがここはおそらく地下かなんか…逃げるのは困難だろう。
「……ここは…檻か…なぜ俺を殺していない?」
さっきまで殺気がヤバかった詩姫だが、今は少しの警戒しか見えない。
「これから、あなたは頼陣家すべての人間を通して裁判を行います…」
裁判か、良い印象は持てないな。
災厄処刑宣言されてもおかしくはない。
「その裁判で何を解決んだ?」
「あなたの罪状…頼陣家への暴虐です」
「いや、立派な人助けをしただけだが…というか暴虐って…」
詩姫はフッ息を吐き、その場に座った。
「この村で一番偉いのは頼陣家、この村にいる以上、郷に入ってはに郷に従え…。は最低条件なのです」
わからなくもない、この村を統治しているのならその家系に叛逆は罪と見做されるだろう。
だがあれは、完全に市民をただストレス発散のために痛ぶっているようにしか見えない。
「俺の判決はなんだろうか…」
「わかりません、今の時点ではさっぱり…村への観光者が村の裁判にかけられるのなんて初めてですから。」
「そうか…」
しばらくの沈黙が続く。
処刑される可能性もないとは言えない…。だがここで旅の終わりというのは流石に不完全燃焼だ。
どうにかしてこの場を乗り切らねば。
すると詩姫は顔を上げて言った。
「ですが私は刑罰を与えるのは反対だと思っています、私の兄上たちは弱きを痛ぶることにしか興味がありません…。」
「なんだ、先ほどは俺に弓を構えてきたのに」
「あれはお父様の作った法に則っているだけです。こ…これは私自身の言葉です!」
そう詩姫が言う
「……なるほどな、」
俺は天井を見上げ、深く息を吐いた。
おそらく、こいつが頼陣家やらで一番まともそうだ。
心の中で言うが…。この村には呆れたな。
「偉いよねー、この歳で結婚させられて、戦闘にかりだされ、挙げ句の果てには兄の尻拭い」
「…その声は…。」
その落ち着いた声で今気づいた。俺の隣にあいつがいるということを…。
「いや、逃げたんじゃないのかよ…ワーズだかなんだか…」
「先ほど村の門の前で転んで失神していたようで」
門の前、あれほど軽い身のこなしで、爽やかな退場を果たしていたあいつが…。
「転んで失神…」
「ははは、結構早い再開だね…。ちょ、なにその顔…」
「頭がおかしい奴がいると、自分自身も頭がおかしくなってしまいそうだ」
それはそうと、このワーズという男に色々話を聞きたかったんだ。
「ワーズ…お前って」
「ああ、元殺伐の君主、ワーズ・ホワイトとは僕のことさ…。マリーはどう?元気してるかい?」
ワーズは淡々と自分の素性を話しはじめた。
「なぜ先ほどは今みたいに話さなかったのだ」
「孤高の謎キャラで固めようと思ったんだけど、もう意味ないからねーはっはっはっ!」
大丈夫か、こいつ…。
それよりも、こいつが殺伐の君主…前魔王を討伐したっていう…。
そして…師匠の双子の弟。
「師匠が言うには、オズとの戦いで死んだと聞いている、本当にお前がワーズならなぜここに?」
ワーズはこちらに目を向けた。
「君、神って信じる?」
「い、いや…なぜいきなり?」
「神がいる前提で話さないと僕は頭がおかしい奴になっちゃうからね、それを踏まえて話をしていいかい?」
「あ、ああ…」
俺はワーズという男と会ったのはこれが初めて。本当にこいつがワーズ本人という確証はないが……聞いてみよう。
「神の加護というものが僕にはあってね、僕の師匠の大島という人も持っている。」
「神の加護とはなんでしょう?」
「簡単に言えば、ピンチな時に神様が助けてくれるズル能力さ」
そういうと、ワーズは前髪をかき分け大きな傷を見せる。
百と縫った傷はかなり大きいものだ。
「凶魔王と戦った時の名誉なる傷跡さ。僕はあの時一度死んだも同然だった…だけど神が現れ僕を生かしてくれた。」
「ほう、では神がオズとの戦いで助けてくれたと?」
「信じがたいと思うんだけど、そうなんだ。」
そういうとワーズは話し始めた。
「僕はあの戦いで初代魔王の複製体と対峙した。頭に大きな傷を負った状態で最後の切り札として凶魔王を倒した必殺技を撃ちギリギリ倒した。でも体は限界を超えていて、一回死亡。」
「し、死亡ですか!?」
「お前、人生で二回も死んでいるのか…」
「面白いよねーほんと。それで僕は特異魔法のウォントヴィーナスを失った。
だけど、神が救ってくれてね、新たな命と新たな特異魔法をもらったてってわけ。」
メチャクチャな話すぎて、話が追いつけない。とにかく神の加護で生き返った師匠の弟がなぜ俺に接触したのだろうか…。
「……ワーズ…なぜ俺を…」
「詩姫様!裁判の用意ができました!!」
扉の向こうから男の声が聞こえた。なんていうタイミングだ。
「わかりました、今連れてゆきます」
「詩姫…どうにか穏便に済ます方法はないのか?」
「……言ったでしょう…頼陣家に逆らってしまったらどうにもならない」
「そうだよフィナシェくん、魔法衛兵隊たちだって手を焼いているそうだよ?」
「ついでに、その紫髪も連れてきてください!」
「僕も!?」
「同罪だな…どうする?」
「んー、奇襲ってのも難しそうだしなー」
「話し合いは勝手ですが、いざとなったら私はまた敵となりますので」
とにかく、今は無罪を証明することが大切…。せめて証人にハルキィがいれば。
それか、師匠…。早く魔力感知で探し出してくれ…。
ーーヤキザケ村 入り口ーーーーー
「やっとついたわ…ここがヤキザケ村…あのバカ弟子大丈夫かしら…」
「この村には知り合いがいる、話は俺がつけてみる」
「あんた、ここ近く出身なんでしょ?その氷術の君主は話がわかる人なの?」
「ああ、狂った頼陣家の中でも結構まともな方だ…」
すると…
「あら!ラテちゃん戻ってたんか!」
髭面老人がラテたちに気づいた。
「げっ…キィ爺さん…」
「知り合い?」
「まあな…」
「ラテちゃんや、戻ってきたっちゅーことは…詩姫嬢さんの結婚争奪戦にきたんやろ!」
「結婚争奪戦!?なんだそりゃ……。確かに詩姫に会いにきたんだけどよ、あいつ今いるか?」
「いるとも、だけど重罪人の裁判に出てるらしいな」
「そ、それってフィナシェのことじゃないの?」
「そうだな…早いとこ急がねえと…」
つづく
大島作
「俺には一応仲間がいるんだ。
師匠とラテ、椿が今頃心配しすぎて失神している頃だろう…」
そうフィナシェが言うと詩姫はそうかと頷く。
「…もし、俺が処刑されたなら師匠達に先にあの世で待ってると言っておいてくれ」
「いや何勝手に死のうとしてるんじゃ?」
「?!」
そう、魔族のジジイらしき者がいた
「お前は?!」
〝ドゴォッ〟
「グッ」
反射的に防いだが、こいつどこから現れた?!
詩姫は驚いた表情をしながら目の前の人物に言う。
「貴方、何者?!」
「ワシは哀怒じゃ。」
「……お前オズ達の仲間だな?」
「ほぅ、それがどうしたと言うのじゃ?」
そう言いながらもそのジジイは姿を消す。
なんとも、暗殺者ぽい行動をしやがって!
詩姫はとりあえずここから出ろと檻を開ける
詩姫の方を向いた瞬間。
〝ザシュ〟
「な———、」
刃先が背骨に沿って深く切り込まれてしまった。
「フィナンシェさん!」
「…俺は……フィナ…シェ……だ………」
〝バタッ〟
俺は倒れてしまった。
すると、何処からか声が聞こえた。
「そこのジジイ、よくも私の弟子に手を出したわね!」
「な、なんじゃ?」
「アイス・ファイヤーッ!」
アイス・ファイヤー。
その炎は熱く痛く、火傷を負うほど、それをより痛めるようにアイスで冷やし、凍傷させる。
一歴魔法を合わせた複合技であり、三歴魔法に相当する
「……この声は……師匠?」
続く…




