凶魔王城までの道ピットゼロ①-032
魔法使いの殺伐
第三十二話凶魔王城までの道ピットゼロ①
「本当に行くのかい?あんたらこの先はあの凶魔王軍が支配するピットゼロだぜ?」
「はい、ありがとうございますこちらもどれだけ危険なのかをわかっています。では」
僕たちはピットゼロに入ることができた。
8神柱…多分そいつらは近いうちに来るだろう警戒は怠ってはいけない
「メービー、確かこの道をまっすぐだよな」
「はい、そうでございます、ここから20キロくらいですね」
「ええっ!?、ここから20キロかよちょっと待て俺ここまで来るのにヘトヘトなんだが」
「ちょっと佑月さんね…こんなんで疲れてるの?」
「おいおい、もう俺は若くないんだよ勘弁してくれ」
確かに僕も疲れたなここまで来るのにもすごい疲れたのにそしてあたりは砂漠だ…
するとメービーがマリーに言った
「マリー様確かカボチャを馬車に変える魔法…ありませんでした?」
そう、メービーは懐からカボチャを取り出した。
「そうだったわ〝パンプホルス〟、よく知ってるわね、こんなマイナーなやつ、もしかしてメービーも魔法は得意?」
「私にはあまり魔法のセンスはないので使わないのですが、お褒めの言葉ありがとうございます」
「いやいや、どこから出したんだ、カボチャは…」
とりあえず移動は楽になったようだ、このまま安全に進めるといいのだがな…。
馬車に乗っているとフェニックスが僕に話しかけてきた。
「ワーズちょっと私は寝かせてもらうよ」
「わかった、何かあったら起こすよ…」
そしてフェニックスは僕の肩に寄りかかり
すんと寝てしまった。
「寝るの速…」
前から思っていたがフェニックス…
と言うかこの美形、たまに男ということを忘れてしまいそうだ。
「いやぁ、若い二人の恋は尊いものです」
メービーが僕に顔を近づけて言った。
「ちょ、なんだよ前にも言ったけどフェニックスは…」
「いいや、あなたは心の奥底でフェニックス様に恋心を抱いています。」
「はぁ?」
「恋のスペシャリストこのメービーにはわかります。恋に男女関係ないでしょう?」
まぁ、確かにフェニックスは美しいし優しいからな初めて会った時から運命の出会いだったのかもしれない…。
それを言ったら佑月さんだってメービーとの出会いも…。これは運命だったのかもしれない、凶魔王を倒すのも。
「あぁ!メービーお前のせいでなんか頭の中ごちゃごちゃになっちまったよ!」
「それはそれは…すみせんね」
くだらない話をしているその時。
「ようやくたどり着いたか…」
ドス黒いような声が耳に直接語りかける。
「ゼビロボ…」
紫のヒビが馬車を覆う。
これは完全に攻撃魔法のゼビロボ…、というか通常の何倍もの威力だ…。
そのわずか数秒で馬車が真っ二つに割れた。
「マリー、佑月さん!!」
「きゃ、何よこれ!!」
前と後ろで綺麗に割れてしまい、僕とメービーとフェニックスはマリーと佑月さんと引き離されてしまう。
「うっ、マリー、佑月さんを連れて魔法でこっちまで来るんだ!」
「だめだわ、私たちの境目にバリアが張られてる!」
「てかよ、砂漠が割れてやがるぞ!!」
佑月さんの声に気づいた、砂が割れて大穴のようになってしまっている!!
「……凶魔王の魔法…ここまで強力なものだとは…」
メービーは振り落とされないように僕とフェニックスの服を掴む。
僕たちが乗っている馬車は崩壊しながら砂漠の奥底へと、落ちていった。
足場が見えた、だがそのほかに見えるのは針のように尖った鍾乳石…。
このままだと着地する前に串刺しだ。
「サウズソード…」
メービーは左右そして、頭部を囲むように剣を出現させた。
「ちょ、メービー何する気だよ!!」
「この剣を飛ばして鍾乳石を壊します…。お掴まりください!!」
〝ズシャァッッ〟
三本の剣は見事に鍾乳石を打ち砕いた。なんて言う破壊力…これが魔法衛兵隊…。
「助かったよ、メービー」
少しの安堵で、あたりを見てみる。
真っ暗な鍾乳洞砂漠のしたはこんな風になっていたのか…。
「大丈夫ですか?、お二人様」
「僕は大丈夫だ…あれ!?、フェニックスは」
「フェニックスならここにいるぜ?」
ワーズたちの前に現れたのは魔族の男であった。その時男はフェニックスを抱えている。
「すぅーーー、すぅーーーーむにゃむにゃ…」
フェニックスは…寝ている。
「おい、そいつをはなせ、どっちにしろ魔族は倒させてもらうけど」
「おっとぉ、そんなことを言っていいのかな?
俺はウィナーズクラブ1番隊隊長ソーデル…ボスのウィナーズ様の側近だ!!」
こいつがウィナーズクラブの最後の隊長か…
確かにかなり強そうだだが、多分今の僕になら勝てると思う。
するとメービーは僕の前に出て言った。
「ワーズ様、雑魚は私にお任せください」
「ほぅ、お前が相手か…じゃぁぶっ殺させてもらうぜ!!」
ソーデルがメービーに向かって走った。
「しょうがないですね」
「〝ナイツソード〟こざかしいですね
この人たちには指一本触れさせませんよ!」
アビリティの剣がメービーのそばに現れる
そして九本の剣を飛ばす。
「ふっ、剣を飛ばすだけかよ」
ソーデルは怪力で剣を吹っ飛ばしていく
そしてメービーのそばまで近づく。
「おっと、剣はあと一本…忘れていますよ」
「なんだ…グゥッ!!」
ソーデルはメービーのもう一本の剣に気付かずに後ろから腹を貫かれ倒れた。
「ウィナーズクラブの隊長を…一瞬で…。二番隊のベラールの方が強かったような…」
ウィナーズの側近と言っていたからな…。ただ単に情報伝達担当みたいな者だったりして。
「私たちに手を出すのが悪いのですよ…。
来世くらいはちゃんと人間として生きていけると良いですね…」
やっぱり魔族と言ってもメービーはしっかり殺すのに悔やんでいる。
そのニコニコした顔の裏にもしっかりと人格というものがあるのか…。
すると、後ろから女性の声が聞こえた。
「あなたたち魔族?、いや人間のようね」
「あなたもですね、なぜこんなところに女性が一人でいるのでしょうか」
「私はトワール、ピットゼロのことを調べているわ…。
地上で大きな音がしたけど、あなたたちが来たから凶魔王が魔法を使ったようね」
「ちょっと待ってください、あなたはピットゼロの調査をしているのですか?」
「……立ち話もなんだし、拠点で話しましょう」
「私お腹すいたぁー」
「……じゃあ、お邪魔させていただきます」
トワールさんは僕たちをテントのような拠点に案内し、飲み物とフェニックスにはお菓子を出してくれ、一つ一つ話してくれた。
「改めて、私はトワール…二年前からこのピットゼロの調査をしていているわ
そして凶魔王軍のことを見張り、オオシマという男に情報を送っているの」
「オオシマ!?トワールさんオオシマさんを知っているのですか?」
「ああ、…もしかしてオオシマが言っていた凶魔王討伐パーティとは君たちのことか!?」
なんと、僕たちのことを知っているらしい
そしてオオシマさんのことも
「だったら話が早い、逸れてしまった仲間と合流すればあとは魔王を倒すだけ!」
「はい、ですがどこにいるか見当もつかなくて…」
脳内に違和感を感じるこの感じは…。
「ちょっと、ワーズ聞こえる!?」
やっぱりマリーからの脳内電話だ。
つづく




