作戦決行の鐘⑥-029
第二十九話:作戦決行の鐘⑥
マリーの限界値…〝ハザードモード〟。
彼女の中にある魔力は身体にはとどまらず、羽や角として外に放出される。
「相変わらず…あれ使うと魔族っぽくなるよなー…。マリー、予定をはやめよう、街もそろそろやばいし!!」
「わかったわ!!じゃあ…いくわよ!!」
ものの数秒、マリーは大島のそばに現れる。
「はやい…」
マリーは拳を握り締め、大きく振るう。
「炎壊ッ!!」
マリーの突きは音を置き去りにし、大島の身体に思い一撃を入れた。
〝シュバッ〟
マリーこ置き去りにした音が響く。
大島はマッハを超えるスピードの攻撃を受け、空へ吹っ飛ぶ。
「くっ、なんだ…肉体強化魔法…。いや…格闘術だと!?さすがに耐えきれない。…ぐはっ…」
複製体大島は止まる来なく、吹っ飛ばされ続け、そのスピードは秒数とともに加速してゆく。
「やば…見失っちゃう…。ワーズ!!これ!!」
するとマリーはワーズに何かを渡す。
「久しぶりだなー…。これ使うの…」
「じゃ、行ってくるわー!!」
その頃、大島は空高くにいた。体勢はまだ直せず、身動きが取れない状況である。
大島を吹っ飛ばした方向にマリーは飛び、即座に吹っ飛ばされている途中の大島まで追いついた。
「どうもー!」
マリーは時速66万キロの速度を出し、大島の前まで現れる。
これは大体ツキノワグマの一万倍の速度である。
「ゼロウス…貴様…」
「お客様…下に落下しますので、何かにおつかまり下さーい!」
〝パシューンッ〟
マリーはそう言うと、魔法陣から魔法を撃ち、大島の軌道を変え、真下に落下させた。
「ぐっ、重力魔法か…身体を重くし、落下させようとしているな…。だがこの身体…落下こときじゃ死なんぞ。」
「そうね、それが普通の地面ならね…。ちなみに今どこに向かってると思う?」
「あ?どこって…どこかに向けて吹っ飛ばしたのか?」
「そうね…行き先は、元凶魔王城よ」
「凶魔王城?」
「あんたは知らないと思うけど…大島さんの唯一の弱点よ…。そろそろ着くわ」
大島の知らぬ間に、数大陸を超えていた。
およそ5500キロメートル。ハザードモードに達したマリーにすればウォーキング程度である。
「凶魔王城跡地…。大島様はここに入れないという呪いをもっているわ……無理にでも入れば……」
「ふっ、流石にそれは予測していなかったな…」
〝ズシャッ〟
マリーは複製体大島に距離ゼロの魔法攻撃を放った。
大島は凶魔王城跡地に落ちてゆく。
「なっ…体が…消えてゆくっ…」
呪いが発動した。
「これが私たちが一晩考えた作戦…。あなたが大島さんなのであればこの呪いは通用すると思ってたわ!!」
凶魔王城は凶魔王を倒したその後、取り壊しされることになった。
たが凶魔王が死んでもなお、大島は凶魔王城の呪いは解除されることがなかった。
「だが、甘いなっ…体が崩壊する前に…ワープ魔法を使えば…」
〝ドシュンッ〟
一発の弾丸が大島の頭に直撃する。
「なっ、弾丸…。まさか…だがなぜこの距離から…」
すると、どこからかワーズの声が響く。
「まあ…狙撃の名手の僕にかかればこんなとこかな?」
「全部聞こえてるわよ…。」
「お、おい…脳内電話つけっぱなしかよ…」
「貴様ら…ずっと通話してたのか…」
ワーズはナズーク王国の高台にいた。
「全てをすり抜け複製体大島さんだけに当たる
ライフルをマリーが作り、僕の特異魔法で眼を強化し、視力1600にする。不完全すぎる作戦だったが…成功するとはね。」
「き、貴様の能力は回復ではなかったのか!?」
「厳密に言えば、質を良くする…。怪我や破損などは質が悪いと言うだろ?回復は二の次だよ。
今回は僕の視力を質の良いものにした。」
そう…ワーズの〝リサステーション・ザ・スパークル〟は対象に質を良くする電気を発する。
それは人間や物になら全てに通用する。
ちなみに視力1600とは、自然界でも一番視力が高いと言われているワシの80倍である。
「山、山はどうした…視力が良くなったとは言え…なぜここまで…。いや透視魔法か。」
「そうさ…便利だよねマリーの透視魔法は。これで女の子の服も透視できたらいいのだが…。」
「あんたはそろそろ女に殺されなさい…。」
マリーは魔法センスは超国宝級。
魔法使いの魔法の強さは、魔法センスに比例する。
複製体大島だけに当たるライフルの生成や、対象以外を透視させる魔法など、難しい条件を魔法に上乗せすることは誰にも成し得ない芸当だ。
故に、この世の魔法使いたちが束になろうとも、マリーに勝つことはできない。
事実上…人類史最強と言われる。
跡地へ落ちた複製体大島の身体はボロボロと崩れてゆく。
彼はそっと立ち上がり、笑って言った。
「…面白い奴らに出会えた…。本物の大島であればもう少し上手くやっていたのだろうか」
そう言うと、マリーが近づき言った。
「大島さんはもっと強いわよ…。あなたよりもずっとね…」
複製体大島はふっと笑う。
「そうか…。師匠の尊厳…取り戻せて良かったな…。」
その言葉には温かみがあった。
人を殺し続けた大島の被り物をした者…。彼は少し人間に情が湧いたのかも知らない。
マリーも優しい笑みを浮かべた。
「…私を倒した暁に、良いことを教えてやろう」
「いいこと?」
複製体の身体は灰となり、ボロボロ崩れてゆき、最後に言葉を発した。
「今世代の魔王は……二人存在する…」
マリーとワーズは驚く。
その一言を残して消えていった。
「ワーズ…聞いてた…?」
マリーは眉間にシワを寄せ、ワーズにそう言った。
一方ワーズも困惑状態。
「ああ…魔王の一人はどこかにある魔王城にいると聞くが…。」
「じゃあ…もう一人は…。とにかく今すぐ戻るわ!!」
つづく




