表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

かぐや姫のお弁当は、無理難題

作者: 夜狩仁志

なろうラジオ大賞6 参加作品。

テーマは「お弁当」2巡目です。

 セレブ達の通う名門高校。

 ここに一人のお嬢様がいました。

 名を香綾(かぐや)という絶世の美少女。その彼女には毎日求婚者が絶えません。

 金持ちのボンボンや、親の七光の息子、コネだけで入学、政治家のドラ息子、顔とルックスだけのクズ男と、さまざまです。


 本人には婚約の意思は全くありません。

 しかし親同士の体裁もあり、無下に断ることもできませんでした。


 ところが、遂に我慢の限界を超えた香綾様。

 一計を案じ、無理難題を押し付け、求婚者を退けることにしました。


 しつこく付き纏う男子5名を呼び出し、ある条件をクリアしなくては、お付き合いしないと言うのでした。


「私の舌を唸らせるほどの、最高のお弁当を5人協力して作ってください。

 それぞれ食材と料理は指定します。」


 一、日本一の銘水の湧水で作られた“コシのこまち”を、国宝級のダイヤと呼ばれる備長炭を使い、かまどで炊いた白米。


 一、アンデスで無農薬栽培したトマトとキャベツのサラダ。


 一、幻の鳥と呼ばれる“トッ(とり)”の初卵で作った卵焼き。


 一、その自然飼育された“トッ鶏”の雌の若鶏の唐揚げ。


 一、50年に一度できると言われている“紀州北低梅(ほくていばい)”の梅干。


「それぞれ手に入れて一つのお弁当を制作して下さい。

 課題の至高の食材を手に入れ、一番美味しいと感じた方と、私はお付き合いしましょう」


 実在するのかどうかも(さだ)かではない食材。不可能な無理難題に、5人とも諦めて去っていくのでした。


 こうして昼休み、邪魔者を追い出して独り教室に佇む香綾様。


 そこへ一人の男子生徒が近づきます。


「お嬢様」

「校内でその呼び方は辞めなさいと言ってますよね」


「失礼しました、香綾様」


 この者は香綾様の屋敷の執事です。

 身を隠して同じクラスの生徒として通っているのでした。


「その様な嘘をつかれて、後々大変ですよ。

 なんです? コシのこまちって? 

 トッ鶏?北低梅?

 そのようなもの、あるはずないでしょ」


「いいのよ、あんな奴ら」

「あまり無茶ぶりするのは、どうかと思いますよ」


「それよりも……」

「お持ちしてありますよ」


 執事が取り出したのは、一つのありふれたお弁当。


「やはりこれに限るわね」

「ご希望される食材は使用されてませんが?」


「そんなの関係ないわよ。だって、あなたの作る料理は全て美味しいのですから」

「お褒め頂き、光栄です」


「この調子で、毎日お味噌汁、作ってくれればいいのに……」

「今、お作りしましょうか?」


「そういう意味で言ってるんじゃないわよ!」


これを書くために、「竹取物語」と「美味しんぼ」を読み返しましたよ、ええ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ