特別(さくら)
世の中には「特別」が存在する。
例えば、人気の芸能人だったり、スポーツ選手、芸術家とか。もちろん、それは遠いメディアの中や世界だけの話ではない。
クラスや学校の人気者もそう。その人たちはもれなく特別だ。特別じゃない人たちはその特別の恩恵に少しでもあやかろうと必死にもがく。
「あれ、舞依ちゃんに蒼くんだ!どうしたの?」
声を掛けたのは中学時代に間違いなく「特別」と言われていた2人。人気者で何でもできるみんなの憧れの存在。
羨ましいでしょ?私は同じ中学出身だから気軽に話しかけられるのよ。この特別な2人に。
「さくら久しぶりね。同じ学校でもクラスが違うと会わないものね」
「う、うん。そだね」
進学クラスと普通科の下の方のクラスの私達とでは教室の距離があるし授業も同じじゃないんだから当たり前だけど。こうして言語化されると住む世界が違うんだなと実感させられる。
それにしても、他校の学園祭に一緒に行くほどに仲良かったんだ。やっぱり、邪魔ものがいないと仲良くできるのね。
「さくらは何か面白いもの見れたの?」
「今来たばっかりだよ。2人は?」
「俺はもう帰るとこ」
「私も、この後約束があるから帰る予定よ。目的は達成できたし」
「目的?」
「ええ。ハルに差し入れを渡せたから。後輩ちゃんたちも可愛かったしね」
舞依ちゃんのその一言で私は凍り付いた。
はあ?なんでこの2人が遥稀のためにこんなとこに来てるの?しかも、遥稀に会えたからもう帰るって、なに?
「本当は、一緒に回りたかったんだけど係の仕事があるなら仕方ないしね」
「なあ、残念だよな」
「約束取り付けたからってあまり調子に乗らないでよね?ハルが1番大好きなのは私だから」
「聞き飽きたっての」
「さくら?どうかしたの?」
「あ、いや、なんでもない...そっか、もう帰るんだね」
私はぎこちなく笑って2人を見送った。
私の近くを通る人が小さく悲鳴を上げていたけど知らない。ムカムカしてきた。
「さ、さくら?」
「あ。ごめんね、タカ君」
「さっきの友達?すごい美人とイケメンだったね」
「そうなの。2人とも人気者だったんだ」
危ない。そう、私は今彼氏の友達の学園祭にデートで来てるのよ。遥稀のことなんて気にしてる暇ないわ。
いくつかの教室を回ったけど正直ビミョー。ありきたりって言うか、タカくんは友達とか知り合いがいて楽しそうだけど。私にはいないし。
「あ、そうだ。中学時代の後輩のところも見ていい?」
「うん、いいよ。何してるの?」
「教室で映画の上映会って言ってたな。そろそろ時間らしくてさ」
映画か...。正直、手作りの映画でどこまで楽しめるかわからないけどタカくんのためだし行ってみるか。
「ホラー映画を作ったらしくて、さくら、ホラー大丈夫だったけ?」
「ちょっと怖いかも。でも、気になるな」
「ムリはしなくていいからな」
「うん!」
どうせ作り物だし、そこまで期待できるとは思えないな。とりあえず怖がる振りはしないと。
教室の前は上映前とあってそれなりに人が集まっていた。パンフレットも売ってるらしいし結構本格的なのかな。まあ、面白かったらパンフレットは買ってもいいのかな。
一応、物として思い出は残しておきたいし。
「さくら、入るよ?」
「あ、うん。まって」
教室内は薄暗くてそれなりに冷房が効いていて涼しかった。席もそれなりに埋まっていて映画に対する期待感が高まっていく。
内容は学校で起こる怪奇現象に迫っていくという内容で、それなりに楽しむことができた。学園祭の自主製作だし所々「ん?」と思うところもあったけど。
「タカくん、DVDも買うの?」
「結構面白かったからな。さくらは?」
「私は、パンフレットだけ買おうかな」
「パンフレットは外だったよな?行ってみるか」
パンフレット売り場は隣の教室。そこではパンフレット以外にも部活の文集も売られているらしい。
パンフレットを購入して適当に見てみる。美術部に文芸部。演劇部まで出店しているみたい。
「文芸部の文集、1冊いかがですか?」
じっくり見ているのに気づかれたらしい。仕方なく近くに行ってみる。
表紙は、文芸部という堅苦しいイメージに反して漫画チックだった。これなら、まあ、買ってみてもいいのかな。
「店番、任せててごめんね」
「あ、先輩おかえりなさい。見つかりました?」
「うん。無事に届けられたよ。はい、頼まれてた買い出し。それとこれは差し入れ」
聞き覚えのある声に思わず顔を上げる。うそ、でしょ。
「差し入れってあ、清水さんと蒼さんですか?」
「うん。色々と貰ったよ。甘いものばっかりだけど」
「あの、どうされましたか?」
声を掛けてきた女の子の声に反応して、戻って来て女子生徒は私の方に視線を向けた。視線が交わる。
お互い、何も言葉を発しなかった。
「さくら、大丈夫か?」
「あ、え、うん」
「もしかして、友達か?」
「そ、そう、中学時代の友達」
タカ君の声に言葉を返す。
「へー今日は遥稀先輩のお友達がたくさん来てくれますね」
友達?遥稀に?
遥稀にたくさんの友達なんているわけないのに。この子は何を言っているのだろう。
教室で1人でぼんやりと本を読んでいた遥稀に友達なんているわけないのに。ああ、そっか。また嘘を吐いてるんだ。
「遥稀、久しぶりね」
「さくら、うん、久しぶり」
平坦で温度のない声。こんなロボットみたいな子に友達ができるはずない。
それなのに、後輩まで騙して相変わらず悪い子。
「へーさっきもさくらの友達に会ったんですよ。あ、オレ、さくらの彼氏の孝っていいます」
「どうも。癒木遥稀です」
愛想のない表情。本当に可愛くない。
「もしかして、さっきの美男美女とも友達、ですか?」
「美男美女?」
「タカくんったらそんなわけないじゃない。あの2人はとっても人気だったんだから。話せる人の方が少なかったのよ?」
「へーそんなにすごい人たちだったのか」
そう、遥稀はあの2人と友達じゃない。そうでないといけないのよ。
「先輩、大丈夫ですか?」
「あ、うん。大丈夫。そうだ、飲み物好きなの選んでいいよ」
「わ、ありがとうございます」
相変わらず男子と後輩に取り入るのは上手いみたいね。
ここで中学時代の陰気な様子を暴露したらどうなるのかしら。「特別」な振りをしているだけの何もない空っぽな人間だってことが露呈したらきっと高校でも生きていけないわよね。
「そういえば、さっき遥稀先輩のクラスの人も来てましたよ。なんか、渡してほしいものがあるって」
「渡してほしいもの?メッセージ入れてくれてたらよかったのに」
「ID交換してなかったんじゃないですか?」
「ありえるかも。あ、ペン返してくれたんだ。明日でも良いのに」
「お菓子まで貢がれてる...相変わらずですね...」
「半分は渉くんと後輩ちゃんにって書かれてる...渉うちのクラスの女子から人気だもんな」
「え、ついにモテ期っすか?」
「弟にしたいって」
「弟...。」
「どんまい、渉くん」
クラスメイトも騙してるってこと?
どうせ、か弱いふりして騙してるんでしょ。
「遥稀、相変わらずいろんな人に可愛がられてるんだね」
「みんな親切だから」
「やっぱり、背が低いとか弱く可愛く見えるんだね。うらやましい」
「さくら?」
「...。言いたいことはそれだけ?」
「は?」
「羨ましいでしょ?素直にお願いしたらみんな親切だから手伝ってくれるんだよ。本当にいい人たちだから」
「何それ、結局か弱いふりして周りを騙してるんでしょ」
「騙してはないよ。できる範囲のことはしてるし、きちんとお礼も言ってるし私もお願いされたらできる範囲でお手伝いしてる。持ちつ持たれつ、利害関係、助け合い、そういった関係を築きことが大切なのは知ってるから」
「何それ、結局楽したいから人を利用してるだけなんでしょ」
「その言い方、あんまり好きじゃない」
ムカつく、ムカつくムカつく。こんなのに騙されるなんて周りのやつらはバカみたい。
私がお願いしても誰も聞いてくれなかったのに、こいつだけ。特別じゃないのに特別扱いして。
「先輩、落ち着いてください」
「落ち着いてる。すごく冷静」
「でも、」
男の子は遥稀の目の前に立ってそう言った。そして、庇うようにこちらを見ている。
何それ、騙されてるくせにバカなんじゃないの。人を平気で笑顔で利用できる腹黒の癖にその本性に誰も気づかないなんて、本当にバカみたい。
「あの、貴女がどう思っているのかはわかりませんけど、みんな、か弱いから助けたいじゃなくて、純粋に遥稀先輩だから助けたくなるんです。手伝った後にきちんと笑顔でお礼を言ってくれたり、困っていたら率先して助けてくれるから」
私が遥稀を睨んでいるとおずおずと本を進めてきた女の子がそう言った。
可哀そうに。こんな純粋そうな子まで騙して利用しているなんて。少しでも目を覚ましてあげないと。
「何それ、ただの偽善でしょ?」
「偽善だとしても、助けられた人には関係ありません。助けてくれて、救ってくれたことには間違いありませんから。その事実だけは変わらないから。無視した方が楽なのにそうせずに行動してくれた。その事実が大切なんじゃないですか」
「ただの綺麗ごとでしょ」
「そうかもしれません。でもそれで優しい気持ちや嬉しい気持ちになれるならそれでいいんだと思います」
何それ、本当に救いようのないバカだってこと?
適当なことを言ってきれいごとや偽善を正当化して、本当に気持ち悪いし意味わかんない。
こんな人たちと同じ空間になんていたくない。
「何それ、意味わかんない」
私はそう言って教室から飛び出した。
「あ、さくら」
「遥稀先輩、すみません。先輩のお友達なのに」
「ううん、涼音ちゃん、ありがとう。カッコ良かったよ」
教室から出る直前でそんな会話が聞こえた。何それ、またいい子ぶって。そういうとこがムカつく。
いつだって私は「特別」になれなかった。「特別」になれる人は決まっていて、それ以外は平凡な人間。でも、たまに、「特別」な人に見つけてもらってその恩恵にあずかれることがある。そんな人間は「特別」じゃなくてもそれと同等な扱いを受けることができる。そのためには空気を読んで行動しなければならない。
空気を読む。それはみんなと同じ行動を取ること。
小学校低学年までは私と遥稀は普通の仲のいい友達だと思っていた。でも、その関係はいつの間にか静かに崩れていった。
どんなことを言ってもしても遥稀なら笑って許してくれると思っていた。だって、遥稀にとって私は唯一の「友達」だったから。そして、私にとって遥稀は「友達」《かくした》だったから。それは遥稀もよくわかっていたはず。
カーストで下の方でも遥稀の方が明らかに下だった。そんな遥稀と仲良くしていた。してあげていた。感謝してほしいくらいに。
高学年に上がったある日、クラスの女子で1人の人気者が失墜した。
その空気を読んで私もその子を無視したりした。「特別」な子が輝きを失った瞬間だった。でも、遥稀は唯一空気を読まなかった。空気を悪くするだけだからやめろと何度も忠告したのにも関わらず。
結局、その子はまた「特別」に戻った。空気が変わってもう一度人気者へと返り咲いた。
遥稀も結局、元の位置の戻った。本当にバカだと思った。見返りを望んだとしてもそんなものないのに。
中学に上がっても遥稀は相変わらずだった。そして、3年生になった頃、徐々に陰気な性格に拍車がかかった。ぼんやりと教室で本を読んで。移動教室も1人。
私が行こうと声を掛けるとなおも明るく頷いていた。そして、2人で移動を始める。最初は躊躇していたなおも遙稀が「先に行って」と言っていたと言うとそれを信じて疑わなかった。そして、いつの間にかなおも移動の時に遙稀に声をかけなくなっていた。
かろうじて部活の時は明るく振る舞っていたけどそれも気に食わなかった。後輩と親し気に仲良くしていて、何も知らない後輩を騙して笑って。
遥稀に笑顔で話しかける後輩も私が声を掛けると緊張した表情になるのが気に食わなかった。それに対して部長に愚痴って、後輩をあまり怖がらせるような態度や言動はやめてと逆に注意された。
後輩に話しかけるときに怯えないでと言っていても余計に怖がられて逆効果だし。何もかもイライラした。
そんな時、クラスの方では何故か遥稀の隣には蒼くんがいるようになった。席替えの時に1番前の席を指定してまで遥稀の隣に居続けるようになった。
1番前と2番目の席は人気がないから行きたい人は自由に選べるようになっている。その仕組みを利用していた。元々人気がない席が埋まることに対して特に不満は漏れなかった。
そして、何故か舞依ちゃんもちょくちょく遥稀に話しかけるためにクラスにやって来た。今までこんなことはなかったのに。「特別」に返り咲いた舞依ちゃんの周りにはいろんな人がいたのにそんな中で舞依ちゃんが選んだのは特別感がなくてパッとしない最底辺の遥稀だった。
きっと、珍獣を愛でる感覚に近いに違いない。飽きたらすぐに来なくなるし捨てられる。「特別」と「底辺」じゃ釣り合わないんだから。
なおもきっと同じ考えだと思っていたのに、ある日から態度を変えた。
そして、今度は私が徐々に孤立していった。
「さくら、急にどうしたんだよ」
「うるさい!ほんっとに最悪!」
「落ち着けよ。何があったか知らないけどさ」
「知らないなら適当なこと言わないで!」
本当にイライラする。遥稀の後輩も何もかも。
「癒木さんと何かあったのか?」
「はぁ?」
「いや、だって、癒木さんに会ってからおかしいじゃん」
「おかしくない!ただムカつくだけ」
「なんでムカつくの?」
タカくんは私にベンチに座るよう促しながらそう言った。
「空気が読めなくて何もない空っぽの最底辺のくせにちやほやされてるのがムカつく」
私は遥稀の過去について全部話した。そうすると少しだけすっきりした。
そうだ、カッコいい彼氏もいる私の方が格上なんだ。遥稀に彼氏なんて絶対にできないしすぐに人に飽きられるに決まっている。何もないんだから。
「さくらはさ、何で友達をそんなに悪く言えるの?」
「悪くなんて言ってない。本当のことだもん。あーすっきりした」
「本当のことって...じゃあ、何をそんなに焦ってるの?」
「焦ってる?何それ」
「正直、癒木さんに同情するよ」
「なんで!?明らかに遥稀が悪いでしょ!空気読めないし、平気で男子とか後輩に媚びてさ、後輩も意味わかんない。あんな偽善の塊の嘘つきの何が良いのか」
「俺の目には癒木さんは後輩のことを本当に大切にして可愛がってるように見えたけど」
「うそでしょ?」
「本当。でないとあんなに懐かれないでしょ」
「だから、それは騙されて、」
「なんで何を騙すんだよ。俺から見たらさくらは癒木さんに嫉妬してるように見えたけど?」
「は、はあ?なんで、」
私が遥稀に嫉妬とかありえないんだけど。だって、何にもない人間に。
「じゃあ、何でわざわざ人を傷つけたり貶めたりするようなことを言うの?」
「それは、事実だから、」
「そうだとしてもいう必要ないよね?」
「だって、そうしないと、私が1番下になるから」
「1番下って何?}
女子のカーストで私達は常に下の方だった。活発な方ではなかったし身長が低くて、ひときわ幼く見えたから。だから、少しでも舐められないようにしないといけない。
常に勝ち気でいればターゲットになることはなくなる。だから、頼み事も強気でお願いして頼まれごとにも強気で返す。後輩にも舐められないようにしないといけないから。
そのことを話しても遥稀は首を縦に振らなかった。嫌な気持ちをさせるのは失礼だって。強気でいるのは良いかもしれないけど時と場合は選ぶべきだって。
意気地なしだと思った。弱虫でプライドも自分の意思もない意気地なし。
だから、カーストでは遥稀は1番下。
「それなのに、舞依ちゃんや蒼くんに優しくされて、後輩にも慕われて、」
「やっぱり、嫉妬でしょ」
「だから、違うってば」
「舞依さん?だっけ?が癒木さんを気に掛けて慕っていたのは過去に助けてくれたからだろ?蒼さん?もそういう癒木さんの姿勢が凄いと思ったからだろ?後輩の子達だって普段から気に掛けているから懐いてるんだし他に何が、」
「私の恋に協力してくれなかったんだもん!」
「恋?は?」
1番許せなかったのは、要くんと仲が良かったことだ。なんで、同じ習い事をしてたからってあんなに仲良くして。共通の趣味の話題で盛り上がったり、勉強の相談にのったり本当にムカつく。
何より、協力してって言ったのに断られたのが1番ムカつく。何?私より優先すべき友達がいたっていうの?本当に空気が読めなくてムカつく。
「好きな人の情報とか写真をお願いしたら断られたの!共通の話題について教えてっ言ったら最初は教えてくれたのに段々はぐらかすし、」
「え...嫉妬じゃん...」
「だから、違うってば!」
「えっと、共通話題をはぐらかされた心当たりはある?」
「ない!推しキャラの話になって遥稀の推しキャラセンスないねとか、可愛い系の男キャラとか無いってそんな普通の話しかしてないし」
「原因それだろ」
「え?」
本当のことを言っただけなのに。なんで?
「普通に好きなキャラとか作品を貶されたくないからはぐらかしてたんじゃないか?仮にその好きな人の推しを貶すようなことになったら印象最悪だし」
「そ、そんなこと、」
「嫉妬が暴走しただけかよ」
「だから、嫉妬なんて、」
「癒木さんがさくらの悪口を言ったことってあるのか?」
「あるわけないでしょ」
遥稀が私の悪口を言うなんてありえない。だって、唯一の友達なのに。
「言われても仕方のないことしてるのにな」
「なんで、」
「そうだろ。癒木さん、怒ってもいいのに、後輩のことを宥めていたからな。謝罪は受け取ってもらえなかったけど」
「だって、遥稀は何言ってもしてもごめんねって謝ったら許してくれたし」
「それは甘えだよ、さくら。謝って許してくれるからって何を言ってもしてもいいわけじゃない。癒木さんはきっとさくらが自分で気づいてくれると思って許してたんじゃないか?」
「それなら、気づくまで許してくれたら、」
「きっと限界だったんだよ」
タカくんはそう言って立ち上がった。いやだ、この人にまで見放されたくない。
「さくら、少しずつでいいから直していける?」
「え、」
「もちろん、俺も完璧じゃないからさ、イラつかせることがあるかもしれない。でも、そうなる前にお互いの悪いとこを直せるようにしよう。俺はさくらに自信を持って嫉妬心で人を傷つけないでほしい」
「...。わかった」
「うん。まずは、人のいいとこを見つけられるように意識してみよう」
タカ君はそう言うと私の手を引いて歩き出した。
嫉妬...まだわかんないけど、さっきよりはモヤモヤしない。見放される側には、なりたくない。