第23話 人探し
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僕達は,来た道を戻って宿屋に向かった。
道中に先程通ってきた店を諦めたくない二人とリベの攻防があったりと,賑やかに進む。
リアスさんはそんな様子を苦笑しつつ,何処か物珍しそうに見ていた。
(……やっぱり,色々と本当のことは言っていない気がするんだよね。まぁ,詮索する気もないけど)
内心で適当に結論づけて,僕は気にしないことにする。
何事にも関わらないのが大切だ。
人探しを手伝っている以上,少し無理のある考え方であることは否定しないが。
「……あの,えーと,フレイムさん。僕からフレイムさんに聞いても良いですか?」
不意にリアスさんが僕の方を見てそう言った。
僕が軽く頷くと,リアスさんは純粋な東雲色の瞳で僕を射抜くように見つめる。
何となく雰囲気が鋭いが,特に違和感がないところを見ると,無自覚なのかもしれない。
「……皆さんは,とても強いですよね? 何故此方に?」
「……強いかどうかは僕達では判断しかねますが……。此方に来たのは……そうですね。依頼でしょうか」
意識せずに言葉が固くなる。
僕の答えに,リアスさんは少し視線を反らして,鋭い視線のままで何かを思考するように虚空を見た。
「……強い貴方達に依頼ということは,余程高貴な者の依頼ですか?」
(……あ,この人あれだ。兄上に似てるんだ)
一見穏やかで純粋そうに見えるところも,その表情のままで相手の確信に迫るような聡明さも。
そして,真実に辿り着いていながら相手の反応を見て愉しむ変わった癖も。
リアスさんは多分最後の癖は持っていないと思うが,どうしても記憶の中の人物と重なる。
微妙な表情の変化に気づいたらしいリアスさんが不思議そうな顔になるのを見て,僕は苦笑した。
「……そうですね。何方とは言えないのですが,とても高貴な方です」
華国の女王経由でこの大陸の皇帝から受けた依頼なんて,高貴そのものだろう。
僕の答えに,リアスさんは若干腑に落ちないというような表情をしつつ,曖昧に頷いた。
「フレイムー? この辺だったか?」
暫く歩いた所でヒロ君が足を止めて振り返る。
それに頷いて,僕はリアスさんに声をかけようとした。
「……あれ?」
横を歩いていた筈のリアスさんがいなくなっている。
周囲を見回してもそれらしき人影はいない。
「……迷ったとか?」
「一本道だよ?」
呆れたように答えつつ,リベは眉を顰める。
「……何か気になることがあったとか?」
立ち並ぶ店を見て,リリーがそう呟いた。
(……律儀そうなリアスさんが依頼中に勝手に何処かに行くとかあり得なさそうだけど……)
「……取り敢えず,探す?」
「そだね」
このまま無かったことにして宮殿に向かうのは気が進まない。
僕達は二手に分かれて探すことにした。
一見大きな一本の道だけに見えるが,皇帝直轄領の街は細く入り組んだところが多い。
門を背に左側を僕達が,右側をリベ達が探すことになった。
「……あの人さ,多分凄く身分の高い家の子供だと思う」
「え?」
僕が自分の推論を告げると,ヒロ君は目を瞬く。
「……まず,名乗り方。それから所作。何より,あのローブには結構強めの認識を阻害する魔術が組み込まれてたから,凄く高いものだと思う」
「……ローブ,見てわかるのか?」
「なんかわかるんだよね」
驚いたように返したヒロ君は,少し思案した後,徐ろに腕を組んだ。
「……確かに,此処に住んでるって言う割には,慣れてない感じがあった。でも嘘って感じはしなかったけど……」
「……此処に住んでる貴族。そういう意味で言ったのかもね」
嘘は言っていないがそのままの意味でもない。
なんというか,益々脳内イメージが兄上に近づいてきた。
細い入り組んだ道を進んでいると,段々と溢れてきた活気が遠くなっていく。
やがて太陽に照らされるだけの静かな道になり,人も少なくなってきた。
「……にしても,人多そうだな」
周囲を見回しながら進んでいたヒロ君が小さく呟く。
確かに,擦れ違う人は減ってきたが,家というか,人が生活していそうな建物が密集していた。
「……流石に貧困とかは問題になっていないけど,治安が悪いところはあるみたいだね」
手紙にこの旅の詳細を書いて送ったら,母さんからその辺りは注意して欲しいと返ってきたのを覚えている。
「……それってさ,こっちだよな」
「……だね」
二手に分かれる時,左右を決めたリベが「左側はお願いしたい」と結構真剣な表情で言っていた。
進んでいると,段々光が減っていく。
そう長い時間はかからずに,太陽が届かない一角に入った。
「……いるね」
「……いるな」
僕が呟くと,ヒロ君から返答が返ってくる。
如何にも素行の悪そうな青年が三人,訝しげな目で此方を見ていた。
(……あー,思い出すなぁ。こんな感じの素行が悪い人,基本的に財閥が粛清して下僕にしてた)
親の仕事の見学的な学校の宿題の時に,兄と二人で結構真面目にその様子を見たのを覚えている。
そんな記憶を思い返している僕にも慣れたのか,ヒロ君は気にしていないようだ。
取り敢えず見なかったことにして通り過ぎようとすると,案の定青年達が動く。
「おい,お前等,俺達の事無視して通り過ぎるとは良い度胸だなぁ」
「見た感じ何処かの良いとこの餓鬼か?」
嘲るような声音でそう絡んできた青年二人を,若干冷めた目で見つめ返した。
ヒロ君は既に拳を握ろうとしている。
「すみません。先を急いでいるので」
僕が適当にあしらって去ろうとすると,やはり癇に障ったようだ。
「……あ? お前舐めた口聞いてんじゃねぇよ」
「俺達のことを知らないとは言わせないぞ?」
先程と同じ二人が脅すように僕達を睨む。後ろの一人は僕達を睨むだけで,口を開こうとはしない。
(……此処は素直に知らないって言った方が面白そ……情報が手に入りそうだね)
僕は少し考え込んだ後,薄っすらと笑みを浮かべて「知りませんが?」と答える。
効果は覿面だったようで,青年二人は額に青筋を浮かべた。
「はぁ? 舐めてんなぁ」
「俺達は此処一帯の王者『イレックス』様だぞ?」
何度か瞬いているヒロ君は,僕に向かって「知ってる?」と尋ねる。
当然知らないので,僕は小さく首を振った。
最後までご覧頂きありがとうございます。
一言:柄の悪い青年の口調って難しいですね……。
区切りが悪いので次話はいつもより少し早く投稿します(フラグではないですよ)




