7
離婚届はすでに提出済だった。
喪主は髙橋家として義父が行った。
親族として参列はした。
両親にも義両親にも責められ、罪悪感、喪失感で、後悔でいっぱいになっていた。
萌は美穂の両親が育てると言っている。
英二の頭にはなにもはいってこない。何も理解できない。追いつけない。
言葉は「なんで・・・」しか出てこない。
なんでみほはしんだんだ
なんであんなひどいことをみほにいったんだ
なんでしんじてあげれなかったんだ
なんでみほはおそわれたんだ
なんで・・・
大翔には殴られた。
「こんな・・・」
なにか言っていたが全く覚えていない。
なんでかの問いは、1つだけわかる。
大翔とうわきしたか思い込んでしまったのは、璃子が先に言ったからじゃない。
聞いてないけど、大翔はむかしから美穂が好きだったからだ。
目でわかる。
赤ちゃんからの幼馴染だから、俺とは違う何かがあった。
でも俺だって小学校から美穂のこと好きだ。
大翔に奪われないよう、頑張ってアピールして、笑顔にさせて、楽しくさせて、先に告白したんだ。遠距離の時はひやひやだった。やっと同棲して、結婚して、子供も生まれて、美穂は自分のものになったと思ってたのに、やっぱり大翔のほうががいいんだ、大翔にうばわれた。と思ってしまった。
少しでも落ち着こうとタバコを吸いに席を外す。
電話をしている女性がいた。
「なんで・・しん・・うのよ!」
口論しているようだ。
少し近づくと
「私のせいではないわ。あんたがよっぽどひどく扱ったんでしょう。ただ別れさせようとしただけよ。大翔があんなに早く来るなんて想定外だったわ」
璃子だった。璃子がこちらに気付く。
「え・・えいじ・・・なんでこ、ここに・・・」
ひどく動揺している。
「璃子が俺を、美穂が浮気してると思わせて別れさせようとしたのか」
「・・・」
「美穂は、美穂の言っていることは本当だったのか。お前の演技にまんまとひっかかったのか」
「・・・」
静かにその場をさった。