第0話<塩>
地球外生命体は本当に居るらしい。
しかも私たちよりも高度かつ大きな文明を築いていた。
……私は細かい描写まで伝えるのは苦手だ。
簡潔に淡々と事実を述べようと思う。
ある日、大きすぎる謎の飛行体が現れた。
その飛行体は地球に向かって唐突に液体を撒き出した。
塩水だった。
そう。塩水だったのだ。
地球に撒かれた液体について人々は好奇心とちょっとした希望を抱いて専門家達の成分の分析を待った。
なぜならそれが塩水であるとは誰も思わなかったからだ。
寧ろ「宇宙人が地球に栄養剤を撒いた」という世論と言うか憶測が広まっていたのだ。
その一瞬だけは農業系への株価も上がった。
勿論、お祝いムードが去るのも一瞬だった。
真っ青な顔をした専門家が「塩化ナトリウムとただの水しか検出されませんでした。」と涙ながらに語っていた。
人々が異常に気づいたのも丁度その辺だった。
植物は育つどころか枯れ始め、各地で塩害が発生し始めたのだ。
塩水の散布は1回きりではなかった。それが人類に追い打ちをかけたのだ。
週に1回飛行体は現れ、地球の表面に大量に塩水を撒いている。
最近になっては呼吸すらまともに出来なくなってきた訳だ。
ただ、人類の火事場の馬鹿力は凄いものだ。
急ピッチで他の惑星の開拓を進め、大半の人類はそこに移住することができた。
……ここまでが大まかなあらすじだ。
着いてきているかい?