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九話 ショッピングモールの日常

健太達が車で出発した同日。

翔太の住処のショッピングモールだ。

時刻は午前10時頃。


翔太は目が覚めた。

大きなあくびをして、今日の始まりを迎えた。


そこは従業員の休憩室だった。

広さは十畳ほどの広さ。

元々は、パイプ椅子やロッカーがあったが撤去した。

その代わりに自分好みの家具を設置してレイアウトしてあった。

最新テレビや新品にラグがあった。

この部屋にあるもの全て新品だ。

1ドア冷蔵庫に入っている物でさえ、新品の炭酸飲料だ。

かなり裕福な暮らしをしていた。


そんな状況を見て、ふと思う。


「……前は…こんな生活じゃなかったな……」


過去の世界の話だ‥‥。

今となっては関係ないが。






顔を冷たい水で洗う。

タオルで顔を奇麗に拭うのだった。

そして、『やきとり』を一缶開けた。

そのやきとりを、『パンの缶詰』にたっぷり濃厚にかけた。

翔太風のアレンジトーストだ…。


ソファーに座った。

テーブルにアレンジトーストを皿に乗せた。

紙パックジュースを置いたら朝食の完成なのだ。


「…‥いただきます」


手を合わせた。


翔太は黙々と食べ始めていた。

誰もいない食事を堪能していたのだ。


翔太はテレビを点けた。


だが、画面には緊急放送しか表示されないのだ…。

この時間帯は放送されないのだ。

理由は知らないが。


朝食は基本的には、質素だ。

何故ならば面倒くさいからだ。

缶詰を一から開けて調理しないといけないのだ。

まだ電気が点いてるため、冷凍食品はあるが毎日は健康に良くない。

以外に健康には気を使っているのだ。

この世界で病気には気を付けていかないといけないのだ。

薬局はあっても、しっかりとした予防薬がないのだ。

感染者に噛まれなくても、不健康な生活はよくないのだ。

生き残るために。


普通に考えて、こんな化け物と頭のおかしい連中に殺されない事が奇跡だ。

たった一人の中学生が裕福に暮らしているなんて。

まだ強盗団にも、襲われていないのだ。

こんな壊れた世界だ。


地獄と同然だ。


救助も来ない‥いや絶対に来ないのか。

助ける気もないのか…。


パンを食べ終わると歯を磨いた。

磨いた後は、屋上に行って観察をする。


ここからは、いつもと同じ行動をするのだ。



屋上に行って、双眼鏡で市街地の方を観察する。

覗いてみると、市街地はあちこちで火災が起きているようだ。

略奪…が、横行しているのだろう。

テレビでやっていたB級映画のゾンビ映画…その光景に似ていた。

まさか、現実に起こるなんて思いもしないかった。

だがウィルスの原因を探るつもりもない。

家族も探す気もない。

もう死んでいると思う。


毎日、どれくらいの人間が死んでいるのだろう。

感染者に殺されて、人間にも殺されて。

どっちが感染者なのだろう。


理性を失い、略奪行為や殺人行為をする人間…。

ウィルスに感染して、無作為に吸血する化け物だ…。

どっちも同じようなことをしているのだ。

自分だって、勝手にショッピングモールに籠って私物化している。

恐怖が伝染し他人にも恐怖が襲う。

テレビを、見ていたって同じことだ。

絶望的な情報が淡々と流れてくるのだ、視聴者は恐怖に襲われる。

明日、自分が生きているのかだって分からない。

翔太のショッピングモールが襲われたちするかもしれないのだ‥‥‥。

今日の絶望、明日の絶望。


ある程度楽しんだら、屋内に戻る。

たまにゴルフもしたりするけど。

今日は気分が乗らない。


エレベーターで降りると、洋服店に向かう。

そこで気に入った服があったら貰ってく。

満足のいくまで洋服店に居ると、別の店に行くのだ。

色々なテナントを旅する。

欲しいものがあったら、カートに入れる。


欲しいものがあったら何でも手に入れる‥‥。

それは金持ちだけの特許だけ、というはずだった。

その金持ちも今はどうしているか?

自分の島とか、シェルターにいるかもしれない。

莫大な財産があれば、何でもできるだろう。


そして、ブランド品の時計屋に行く。

昔から友達が時計好きで自分もいつの間にか好きになった。

だから時計屋に行く。

欲しかった時計が()()で入手できるのだから。

まぁ、正しく言えば窃盗行為だが。


後は、家電量販店に行ったりする。

ゲーミングパソコンを見たりする。

だけど今はネットが無い為、ただのワープロみたいなものだ。

スマホコーナーも見に行くが欲しいとは、あまり思わない。

さっきも言ったが、()()()()()()()が停波してるから意味がない。

見に行くと言えば、冷蔵庫や電子レンジ。

他には、ゲームコーナーに行くのだ。

ゲーム機はネットが無くても、パッケージ版があれば使えるのだ。

他はカメラコーナーにも行ったり、オーディオコーナーに行ったりもする。

気が付くと、午後1時だった。

腹が減って、一階の食品売り場へと足を延ばす。


生鮮食品はないが、冷凍食品ならまだ生きている。

電気があるからずっと、冷やされているから大丈夫だ。

冷凍チャーハンや冷凍ラーメン、ジャンクフードが腐るほどある。


それを食べ尽くすのは厳しい。

食べる前に腐ってしまいそうだ。


カップラーメンを適当に食べると今度は別の場所に向かった。



カートを押しながら入ったのは、従業員専用通路だった。

長い廊下に蛍光灯が明るく照らしていた。

廊下の突き当りにエレベーターがある。

そのエレベーターに乗った。


その行先とは…そう管理室だった。

警備員室だけど…防犯カメラの監視室もあるのだ。

ここの警備室は、ショッピングモールから独立しているのだ。

エレベーターか階段経由でしかモールには行けない。

だから()()安全な所かもしれない…かも・‥‥。

バックから鍵を取り出す。

一応だけど鍵を掛けているのだ。

もしも、暴徒に襲われてもエレベーターの電源と階段に防火シャッターを閉じれば大丈夫。

それに、毎日食料をここに持ってきているのだ。

入り口を壊されて、感染者が溢れたらここに来るのだ。

そこである程度生活できるようにしてある。

それに、屋上にも行ける。

屋上と言っても、高いフェンスで囲まれた機械があるところだ。

そこで、栽培もすればいい。

そのくらいのスペースがあるのだ。

安心安全の要塞?なのか。


鍵を開けて中に入る。

直ぐに鍵を掛けるのだ。

これで安心。


何故かここに来るとホッとする。

靴を脱いだ。

ここからはフロアカーペット敷いてあるのだ。


翔太はここだけに集中してレイアウトや、いろいろな設備の管理もしたのだ。

大きな家具も運んだし、着替えもある。

言わば、翔太の『家』なのだ。

寝床は色々な場所にある。

今日起きた所は、最近改造したのだ。

たまたま、寝ただけの事だ。


他にも改造したとこもある。

例えば、テナントに塾もあるのだ。

そこに家具や、設置してお洒落にしてみたりとか。

家具を選ぶのは楽しいし、運ぶのも運動になるのだ。

この生活を楽しむ時もあるのだ。


とりあえず、警備員室には四つの部屋がある。

まずは、防犯カメラの監視室とロッカールーム、給湯室、トイレだ。

トイレがあるのはかなり助かる。

部屋も全て変えたのだ。


まずロッカールームはロッカーを全部撤去した。

そこは寝室だ。

給湯室はロッカールームと監視室に繋がっている。

給湯室はキッチンとなっている。

それに、たくさんのキャビネットやクローゼットがあるのだ。

その中にはすべて、衣類だ。

他にも給湯室‥‥いや、キッチンには手に余る程の食料品が並んでいる。

壁も世間で言う、DIYの一環で壁紙もライトグレーの色に張り替えた。

主に監視室がリビングの役割をしている。

監視室は十畳くらい大きさだ。

部屋割りで一番大きい部屋なので、家具のレイアウトも楽だ。

大体の家具はエレベーターで運べるが、重すぎると人力で運ぶことになる。

かなりの重労働だがやりがいがあるのだ。

だから、やる気にもなるのだ。

コンポもリビングに設置してある。

それに、寝室にも15インチのテレビがある。

寝室のテレビは主に、ゲーム用途とDVD鑑賞に使っている。

DVDはリサイクルショップから()()()()()のだ。

ショッピングモールに入っているリサイクルショップはDVDバリエーションが半端ない。

洋画、アニメ、バラエティー番組のDVDが無限にある。

好きな時に、お菓子やジュースが飲み放題。

だがそれも、窃盗だが。

ネットは生きていたらもっと、よかったのに…。

次第に社会の秩序とかが消えていくのだろうなぁ‥‥‥。


そんなことを思いながら、冷蔵庫を開けて缶ジュースを取り出す。

缶ジュースを開けて、ソファーになだれ込む。

放置してあった漫画を取り読み漁る。

ジュースを、一口飲むのだった。


いつもこんなような感じで、日中の生活が終わりをむかえるのだ。




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