二話 終わりの買い物
えーと、どこまで話したかな…そうだここまでだ。
今回から『少年』から『翔太』しますのでヨロシク。
さて本題に入ろうか…。
翔太はバッティングに飽きたのか指を鳴らしてバットを近くにあった車両に立てかけると中にはいることにした。
屋上駐車場は多くの車両が残されていて、仮に感染者に襲撃されてもこの立体駐車場の車か屋上駐車場の車両とかで逃げれば多分大丈夫だろう…でも俺は車は運転できないから安心とは言い難い。
この大きな店舗を稼働させている自分の背丈の何倍もの機器の横を通るとショッピングモールへの屋上出入口に入る。
中に入るとカートがあり、そのカートを押しながらエレベーターのボタンを押した。
そしてエレベーターに乗り込むと少し考えた。
「どこの階に行こうかな…」
このショッピングモールは三階建てだ、主に一階がレストラン街やスーパーが並んでいて二階は雑貨店やゲームセンターとフードコート主にあり、三階は洋服店が多くあって電気屋や書店がある。
テナントは数えきれないほどある為に一生遊んで暮らせて、ショッピングも楽しめるからいつも迷ってしまうが結局はジャンルを選ばないで買い物をしている。
「やっぱ洋服、見に行こうかな…」
そう思って三階のボタンを押してエレベーターが閉じた。
三階に着くと真っ先にメンズコーナーに向かった。
カートを店の外に一回置くと洋風のメンズファッション店に足を入れた。
床は板張りで、壁もレンガ風で天井の釣り照明は白熱灯のお洒落な店舗だ。
個人的にはこのショッピングモールの中で一番好きな店だ。
基本的には食料品は扱っておらず、衣服専門の店だ。
だが服がカッコいい。
自分の好みの服が多くそろっていて大体服はこの店から物だ。
だが、世界が正常だったら。
一着数万のブランド物の服だから、中学生の翔太のは到底買えなかった。
だがこのショッピングモールはわが手の物だ…。
好き放題で名にしたっていいのだから。
気に入った洋服を手に取ったら持ってきたバックに詰め込んだ。
時には服を着てみたりと楽しんでいる様子だった。
一時間経つと両手に多くの洋服を抱えて店を出た。
その服を全てカートに入れた。
まだまだ終わらない、他にも見る店はたくさんあるのだから。
翔太は他の店に行ってみた。
そこはアウトドア用品店だった。
そこには武器となるキャンプナイフや少しの工具だ。
万が一、モールに侵入されてもある程度の抵抗はできる…つもりだ。
一応一階の出入り口は金属シャッターで塞いであって、大丈夫なはずだ。
そんな心配もしながら、カートを押して中に入った。
出入り口正面から、マネキンとテントが出迎える。
通り抜けると数多くのキャンプ用品や食料品が商品棚に奇麗に陳列されていた。
とりあえず、お洒落なハットを手に取ってカートに入れた。
後は今日の夕飯候補の缶詰とかレトルトだった。
店を出る頃には、もう午後6時となっていた…。
だが大して腹も減っていない為、暇だからゲームセンターに向かった。
ゲームセンターにはたくさんのクレーンゲームやシューティングゲームが数多く揃っていて資金は直ぐに調達できるのでとても安心できる…。
昔だったらこんなにゲームセンターで一日中遊んでいられなかった。
とりあえず、昔から好きだったレーシングゲームを遊ぶことにした。
そのゲームは有名な某レースゲームのあれだ。
ホントだったら日本中からオンラインマッチが出来たがこのご時世なのか俺ぐらいしかマッチに居ない。
だからコンピューター対戦しかないのが残念だ。
でも仕方ない…。
そしてゲームが終わると次のゲーム機に移った。
次はまた有名な某バイオテロゲームの移植版だ。
これは翔太の持っているゲーム機のカセットがある。
早速プレイしてみよう…!
やはり飽きることはないだろう。
この暮らしの中で一番裕福なのは、政治家か俺ぐらいだろう‥。
だが、誰かといたらもっと楽しいだろうなぁ。
いつの間にか、二時間もゲームセンターにいたのだった。
なので、外は真っ暗。
流石に腹が減った。
なので、さっき手に入れたレトルトでもいいが飲み物が欲しい。
食料品店は一階だ、せっかくだし行こう…と翔太は思った。
色とりどりのテナントが並ぶ長い廊下を超えると。
それは一階から三階までモールの吹き抜けになっているに来た。
エスカレーターが動いているが今はカートを押してるためエレベーターだ。
エレベーターホールまで行こうとすると…。
「あっ、この時計いいな」
店の前にある気に入った時計をカートに入れた。
寄り道しながらエレベーターに乗り込んだ。
一回に着くとエスカレーターの近くには直ぐに食料品店がある。
この食料品店は意外に大きくて品ぞろえも良い。
早速、翔太は中に入ることにした。
中は生鮮食品の棚が空っぽだった。
しかし、生成食品は腐ってしまったため翔太が一人で処分したのだ。
このモールのすべての腐っている食料を一人で片付けるのはかなりの重労働だっただろう。
だがそのおかげで異臭の立ち込めない清潔感ある空間となった。
真っ先に飲料コーナーに向かう。
翔太だけでは飲みきれないジュースやお茶が残されている。
とりあえず500㎖のコーラと缶コーヒーをカートに投げ入れる。
後は常温保存の効くゼリーやポテチを入れて食料品店…あるいはスーパーを去った。
食事の時は場所は決まってないが、最近は無人のフードコートで一人寂しくレトルト食品を食べている。
何となく懐かしい感じがするからだ……。
エレベーターに乗って二階のフードコートに向かった。
その最中でとある自動アナウンスが鳴った。
「―お買い物の皆様にお知らせです――ただいま一階の食料品店で半額セールを開始中です―お求めの方は是非お越しください――――」
翔太はふとこんなことを思った。
「そうか、ホントだったら金払うのか‥‥」
当たり前だけど忘れてたこと。
そう、気づいたのだった。
そして二階のフードコートに着いたのだった。