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十三話 発見

雄太達の話に戻ります

健太達は県外へと続くトンネルが車両に埋め尽くされていた。

通れない程の車両の多さに圧倒された。

まさに、一難去ってまた一難とでも言うのか。


このまま、徒歩でトンネルを超えるのか‥‥それとも。

一体どちらかが正解だろう?

地図とにらめっこをしながら健太と雄太、純は悩んでいた。


全員無言だった。


やっと、ここまで来たのに‥‥‥と思う。

内心はそんな物だ。

達成感から絶望感に変わる瞬間を、身をもって痛感した。

感染者が車両の中に潜めているのかもしれないのだ。

そこまで危険を冒して、行くのか。


全員吸血されて終わりだ。

だがもしかしたら‥‥。


既に、リーダー的な存在の健太に任せていた。


その結論もやっと出たのだ。

それは…。


「‥‥戻ろう」

「え」

「どういうこと?」

「反対方向に向かう」

「何で?」

「反対方向の方が()()()に早く進む」

「えええ⁉」


実奈は疲労困憊だったのか、思わず言ってしまう。

公民館に居た時よりも隈が酷くなってきた。

まともな睡眠もできていなかった。


もう‥‥帰りたい……………。


実奈は心の中で叫んでいた。

辛くて…泣きたい…元の生活に戻りたい。

いつものように、部活のバトミントンをしたい‥‥。

友達と‥‥‥‥いつものように。


「はぁ‥」


そう、ため息をついた。


だが、誰も見向きをしない…訳ではなかった。

奈々子は、実奈の精神状態があまり良くないのは分かっていた。

男達は自分たちの事しか気にしていない。

中学生が一人なので、不安もあるだろう‥。

心配性なのか元々の性格なのか、何事も真面目に取り組む性格だった。

慎重な判断もできて、いつも真剣だった。

優しい部分もあって、高校生からは周りから好かれたのかもしれないのだ。


今回もメンタルが崩壊してきた実奈を心配していた。


だけど、大して話さないからどう接することがいいのか?

葛藤が奈々子にもあったのだ。


しかし…放置するわけにもいかないのだ‥‥‼

奈々子は決めた。

ちゃんと話そう…と。


もしかしたら、また昼間に寄ったサービスエリアに行くかもしれない。



現在の時刻は6:48だ。


暗くなってきた頃だった。



雄太は不機嫌そうな表情を浮かべていた。

自分の意見が気に食わないのか、黙ったままだ。

けれど、雄太以外の人は性格を理解してるのか何も追及はしなかった。

余計な事を言うと揉めるからだ。

なるべく、怒らせないのもある種の策略だった。


辺りは道路照明等によって、照らされている。

健太達の車以外は一台も走っていない。


すると、感染者が車の前に出てきて…。


ドンッ!


車体が揺れて、感染者はぐしゃぐしゃの顔になっていた。

勢いのまま感染者は吹き飛んで、ガードレールにぶつかった。

そのまま、動かなくなった。


それを、実奈は死んだ感染者を車内から見えなくなるまで見ていた。


その目は、虚ろな目だった。

見方を変えれば冷酷でもあったのだ。


死んでも悲しくならない。


もう、感染者は人間ではないことに区別していた。

感染者の頭が吹っ飛ぶなどしても平気だ。

表情は生きているのかもわからない感じだった。


虚ろな目で、地獄と化した世界を見つめたいた…。


実奈の精神状態は普通ではなかった。

この世界で、精神状態を保てるのはかなり少数だろう。

今生きている人間は生存本能が強いのかもしれない。

よく、発狂せずに耐えられるのだろう。

実奈もギリギリの精神だ。

車に乗っている自分以外の人間は生き残れる方だ。

サバイバルに適しているのだ。


だけど、自分は違う。


戦いを避けて生きている。


中学生が生き残れる訳がないのだ。


でも、死にたくない…死にたくない…死にたく…。



すると…。

灯りが見えてきたのだ。

それは。


自分たちが出発した街だった。

黒煙の炎が燃え盛り、まさに地獄だった。

この世界に生きているのか…と思う。


「やっと、中間地点まで来たな」


行ったり戻ったりとか、右往左往している。

結局意味がわからなかった。

本当に新潟の実家に行くのかも、不明なままだった。


公民館に居た時は、健太とか雄太を信じて一緒に行動しているのに。

大胆過ぎる行動も目に余っていた。

だけど、指摘もしないから何も変わらなかった。


ただ信じるしかないのだ。


自分たちでは決められないから。

だから、高校生の男子たちに任せるのだ。


もはや、自信満々だった雄太や純はその面影もなかった。




すると、雄太がカーラジオをつけた。


砂嵐が聞こえてくるが、直ぐに音声が流れ始めた。

今度は雑音を含まない、クリアな音声が聞こえてきた。


「…といった、対応が今後とも生かされますので、お願いします‥‥。

現在は地方などの一部地域では、電気、ガス、水道などのインフラの維持が厳しいという状況です。

人口密集地の都心部から避難するために職場を放棄するなどの事例が…起こっています。

ウィルスを恐れて、一般市民が車での大移動で事故なども発生していますが。

医療機関や消防施設のマヒしており、活動が困難になっています。

それに、輸出入が事実上停止しており医薬品や食料品の生活必需品が不足しています。

なので生活必需が不足しています。

都心部では市民の住宅を襲い強奪するなどの殺傷事件が発生しています。

深刻な飢餓にも見舞われています…。

東京の大規模な避難所のサッカースタジアムでは、ゴミ処理の問題もあるのです。

ゴミの処理が滞ってしまい、今のウィルスとは違う別の伝染病も流行っているそうです。

医療機関にも人々が殺到しています‥。

機能停止にもなっていますので…。

人工透析患者や高齢患者の問題もありますので。


…実際に私達が現在放送しているのも…いつまで放送できるのかもわかりません‥‥‥‥」


車に乗っている全員が無言だった。

想像以上に状況が悪化していたのだった。


食料も飲料水も武器も何一つも確保していないのに。

不安と恐怖が脳裏を横切る。


行先も曖昧でこの先の事なんてわからない。


それに、健太に運転も任せっきりだった。

罪悪感と無力感が重みになっていく。

昼夜問わずに運転三昧で、()れていく顔は見るに耐えないものだった。



現在時刻は7:16分だった。


「おい、何だよアレ」

「…運動公園だ」


大きな公園が高速道路から見えた。

一度車を停車させて、じっくりと観察する。


「自衛隊の基地だな」

「こんな所に?」

「多分だけど、仮拠点とかじゃない?」


それは…。

野球場やサッカースタジアムなどの設備があって、球場照明が点いていた。

それに、自衛隊の車両やヘリなどが確認できる。

テントも張ってあるが、人影が全く見えなかった。

もしかしたら、無人になっているだろう。


インターチェンジも目の前にあるから、いつでも探索できそうだ。

なにより、自衛隊の基地なら銃や物資もあるだろう。

物資の補給もできそうだった。


「降りてみる?」

「危なくないじゃない、自衛隊の基地だよ」

「銃が必要だろ」

「‥‥」

「よし、健太行こうか」

「OK」


健太達の車はインターチェンジへと向かう。


インターチェンジは破壊されていた。

警察車両も何台かは県外へと続くトンネルが車両に埋め尽くされていた。

通れない程の車両の多さに圧倒された。

まさに、一難去ってまた一難とでも言うのか。


このまま、徒歩でトンネルを超えるのか‥‥それとも。

一体どちらかが正解だろう?

地図とにらめっこをしながら健太と雄太、純は悩んでいた。


全員無言だった。


やっと、ここまで来たのに‥‥‥と思う。

内心はそんな物だ。

達成感から絶望感に変わる瞬間を、身をもって痛感した。

感染者が車両の中に潜めているのかもしれないのだ。

そこまで危険を冒して、行くのか。


全員吸血されて終わりだ。

だがもしかしたら‥‥。


既に、リーダー的な存在の健太に任せていた。


その結論もやっと出たのだ。

それは…。


「‥‥戻ろう」

「え」

「どういうこと?」

「反対方向に向かう」

「何で?」

「反対方向の方が()()()に早く進む」

「えええ⁉」


実奈は疲労困憊だったのか、思わず言ってしまう。

公民館に居た時よりも隈が酷くなってきた。

まともな睡眠もできていなかった。


もう‥‥帰りたい……………。


実奈は心の中で叫んでいた。

辛くて…泣きたい…元の生活に戻りたい。

いつものように、部活のバトミントンをしたい‥‥。

友達と‥‥‥‥いつものように。


「はぁ‥」


そう、ため息をついた。


だが、誰も見向きをしない…訳ではなかった。

奈々子は、実奈の精神状態があまり良くないのは分かっていた。

男達は自分たちの事しか気にしていない。

中学生が一人なので、不安もあるだろう‥。

心配性なのか元々の性格なのか、何事も真面目に取り組む性格だった。

慎重な判断もできて、いつも真剣だった。

優しい部分もあって、高校生からは周りから好かれたのかもしれないのだ。


今回もメンタルが崩壊してきた実奈を心配していた。


だけど、大して話さないからどう接することがいいのか?

葛藤が奈々子にもあったのだ。


しかし…放置するわけにもいかないのだ‥‥‼

奈々子は決めた。

ちゃんと話そう…と。


もしかしたら、また昼間に寄ったサービスエリアに行くかもしれない。



現在の時刻は6:48だ。


暗くなってきた頃だった。



雄太は不機嫌そうな表情を浮かべていた。

自分の意見が気に食わないのか、黙ったままだ。

けれど、雄太以外の人は性格を理解してるのか何も追及はしなかった。

余計な事を言うと揉めるからだ。

なるべく、怒らせないのもある種の策略だった。


辺りは道路照明等によって、照らされている。

健太達の車以外は一台も走っていない。


すると、感染者が車の前に出てきて…。


ドンッ!


車体が揺れて、感染者はぐしゃぐしゃの顔になっていた。

勢いのまま感染者は吹き飛んで、ガードレールにぶつかった。

そのまま、動かなくなった。


それを、実奈は死んだ感染者を車内から見えなくなるまで見ていた。


その目は、虚ろな目だった。

見方を変えれば冷酷でもあったのだ。


死んでも悲しくならない。


もう、感染者は人間ではないことに区別していた。

感染者の頭が吹っ飛ぶなどしても平気だ。

表情は生きているのかもわからない感じだった。


虚ろな目で、地獄と化した世界を見つめたいた…。


実奈の精神状態は普通ではなかった。

この世界で、精神状態を保てるのはかなり少数だろう。

今生きている人間は生存本能が強いのかもしれない。

よく、発狂せずに耐えられるのだろう。

実奈もギリギリの精神だ。

車に乗っている自分以外の人間は生き残れる方だ。

サバイバルに適しているのだ。


だけど、自分は違う。


戦いを避けて生きている。


中学生が生き残れる訳がないのだ。


でも、死にたくない…死にたくない…死にたく…。



すると…。

灯りが見えてきたのだ。

それは。


自分たちが出発した街だった。

黒煙の炎が燃え盛り、まさに地獄だった。

この世界に生きているのか…と思う。


「やっと、中間地点まで来たな」


行ったり戻ったりとか、右往左往している。

結局意味がわからなかった。

本当に新潟の実家に行くのかも、不明なままだった。


公民館に居た時は、健太とか雄太を信じて一緒に行動しているのに。

大胆過ぎる行動も目に余っていた。

だけど、指摘もしないから何も変わらなかった。


ただ信じるしかないのだ。


自分たちでは決められないから。

だから、高校生の男子たちに任せるのだ。


もはや、自信満々だった雄太や純はその面影もなかった。




すると、雄太がカーラジオをつけた。


砂嵐が聞こえてくるが、直ぐに音声が流れ始めた。

今度は雑音を含まない、クリアな音声が聞こえてきた。


「…といった、対応が今後とも生かされますので、お願いします‥‥。

現在は地方などの一部地域では、電気、ガス、水道などのインフラの維持が厳しいという状況です。

人口密集地の都心部から避難するために職場を放棄するなどの事例が…起こっています。

ウィルスを恐れて、一般市民が車での大移動で事故なども発生していますが。

医療機関や消防施設のマヒしており、活動が困難になっています。

それに、輸出入が事実上停止しており医薬品や食料品の生活必需品が不足しています。

なので生活必需が不足しています。

都心部では市民の住宅を襲い強奪するなどの殺傷事件が発生しています。

深刻な飢餓にも見舞われています…。

東京の大規模な避難所のサッカースタジアムでは、ゴミ処理の問題もあるのです。

ゴミの処理が滞ってしまい、今のウィルスとは違う別の伝染病も流行っているそうです。

医療機関にも人々が殺到しています‥。

機能停止にもなっていますので…。

人工透析患者や高齢患者の問題もありますので。


…実際に私達が現在放送しているのも…いつまで放送できるのかもわかりません‥‥‥‥」


車に乗っている全員が無言だった。

想像以上に状況が悪化していたのだった。


食料も飲料水も武器も何一つも確保していないのに。

不安と恐怖が脳裏を横切る。


行先も曖昧でこの先の事なんてわからない。


それに、健太に運転も任せっきりだった。

罪悪感と無力感が重みになっていく。

昼夜問わずに運転三昧で、()れていく顔は見るに耐えないものだった。



現在時刻は7:16分だった。


「おい、何だよアレ」

「…運動公園だ」


大きな公園が高速道路から見えた。

一度車を停車させて、じっくりと観察する。


「自衛隊の基地だな」

「こんな所に?」

「多分だけど、仮拠点とかじゃない?」


それは…。

野球場やサッカースタジアムなどの設備があって、ナイター照明が点いていた。

それに、自衛隊の車両やヘリなどが確認できる。

テントも張ってあるが、人影が全く見えなかった。

もしかしたら、無人になっているだろう。


インターチェンジも目の前にあるから、いつでも探索できそうだ。

なにより、自衛隊の基地なら銃や物資もあるだろう。

物資の補給もできそうだった。


「降りてみる?」

「危ないじゃない、自衛隊の基地だよ」

「銃が必要だろ」

「‥‥」

「よし、健太行こうか」

「OK」


健太達の車はインターチェンジへと向かう。


インターチェンジは破壊されていた。

警察車両も何台か放置されたいた。

目の前には田園風景が広がっていたのだ。

数十メートル先には運動公園が見える。

やはり、照明が点いているから目立っていた。


車を走らせて、向かう。


「アレか…」


運動公園に着いたが…入り口には車よりも高い鉄製のフェンスが待ち構えていた。

周りには、感染者の死体が山積みのように放置されたままだった。

見渡す限りは感染者は確認できなかった。

よく考えても、インターチェンジでも感染者がいなかった。

自衛隊が()()したのだろう。


安全を確認したら車を降りた。

警戒しながらも、フェンスに近づいた。


「畜生…フェンスが邪魔だな」

「車で突破する?」

「いや…警報機とかが鳴って感染者に囲まれる」


純がフェンスの隙間から、運動公園の敷地内を確認する。


良く見えないが、駐車場が見えてそこにはテントが張ってあった。

それに自衛隊のトラックなどだ。

感染者の姿も見えないし、人の姿もなかった。


「多分だけど駐車場に食料があるな」

「どうかな」

「トラックがあるし…食料ぐらい積んであるだろう」

「それより、どうやって中に入るんだよ」

「よし、周りを確認しよう」


健太と雄太と純は車に戻った。

そこには、車内で待っていた実奈と奈々子がいた。

純が奈々子と実奈に話しかけた。


「運動公園の中に入る為の入り口探しに行くけど、一緒に行く?」

「行かない…」

「そうか、じゃあここで待っていて」


雄太はサービスエリアで入手したH&K MP5A4を持って探索に向かった。

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