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高校でクラスメイトだった彼女が妊娠したらしいから産婦人科について行った話、もちろんヤった相手は俺じゃない  作者: 櫛名田慎吾
② 先輩からもらったコンドームのせいで彼女と後味の悪いことになったけれど、やっぱりさっさと一人で使っておけば良かったと思った話。
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第15話   〃 大魔界村

「倉本センパイ、さすがっス。ホント僕なんかと違うっス。ボウリングっていったら、マジでこれから倉本センパイっス」


 ボウリング場から降りていくエスカレーターに乗った僕は、おおげさに小夜ちゃんに頭を下げた。


 結局ボウリングを三ゲームやって僕はボロボロ。一ゲームも百を超えるスコアを出せず、ストライクさえ取れなかった。こんなことは初めてで、しかも後輩の女の子の前で恥ずかしいといったらありはしない。破れかぶれになった僕は、唯一ストライクを出した小夜ちゃんを褒め倒すことにしたのだった。


「もうやめてくださいよ。私だってガター? ばっかりで、全然真ん中いかへんかったんですから」


「いや、あの最後倒れるかどうかで迷ってた十ピン(テンピン)がコロンって倒れたんは、倉本センパイのチカラっス」


「もう、ホンマにやめてください!」


 そう言って小夜ちゃんは僕を手で叩いた。その右手はとくに怪我をしている様子もなくて、僕はホッと胸をなで下ろす。


「で、倉本センパイ、指とか手とか大丈夫っスか? イラストに影響ないっスか?」


「だから、もうホンマにやめてくださいって。全然大丈夫です!」


 と、その時は細くて綺麗な指先を見せてくれた小夜ちゃんだったけれど、案の定翌日の月曜「尾崎センパイ……私、右腕、筋肉痛で上がらへんのです」と言ったのだった。


 △


「じゃあ倉本さん、あとは電気屋さんに寄ったら帰る?」


 悪ふざけを終わらせてボウリング場を出ると、時刻は午後二時。たとえ帰りの汽車に一時間半かかるとはいえ、さすがに早いかなとは僕も思った。けれど電気屋さんにちょっと寄った後に、小夜ちゃんと一緒に行くような場所を僕は思いつかなかったのだ。

 

 そんな僕の言葉に小夜ちゃんは驚きの表情を見せた。


「えっ、でもまだ二時ですよ。尾崎センパイ、センパイが行きたいとこ全然行ってへんし、もうええんですか?」


「いやまあ、行きたいとこいうても、他には……、ゲーセンとか、模型屋でプラモ見るとか? かな……。そういうの倉本さん、あんまり興味ないやろ」


 それを聞いた小夜ちゃんは歩きながら「うーん」と思案をし、「ゲームセンターとか、入れるんやったら一回行ってみたいような……。あと模型屋さんもちょっと興味があるいうたら、あるかも……」と、僕の予想外の返事をした。


「ええ、そうなん? それやったらまあ、行ってみようか、ええん? ホンマに?」


 僕が確かめると、小夜ちゃんは少し身を引き気味にして答える。


「えっと、でもパチンコ屋だけは、ちょっと……」


「いや行かへん、って。来る時に言うたやん、俺もそれくらいはわきまえてるから!」


 そんな僕の弁解がおかしかったのだろうか、プッと吹き出した小夜ちゃんはお腹を押さえて笑いをこらえていた。


 △


 それから僕たち二人は電気屋、模型屋、ゲームセンターと見て回った。


 そのどこでも小夜ちゃんは興味深そうに僕の後をついて来ていた。中でもゲームセンターに入るのは初めてだったらしく、多少薄暗い店内をキョロキョロと眺めたあと、僕の服の裾を軽くつまむようにして歩いていた。


 僕はいつもどおりに五百円玉を両替機に入れて五十円玉に両替した。ガチャガチャと出てくる五十円玉を不思議そうに小夜ちゃんが見つめたあと、僕に聞いてくる。


「ゲームセンターって、一回百円やないんですか?」


「そんなブルジョアなゲーセンには行かへんて、ここは最新機以外は一回五十円やから。えっと、アレとか、それからアレは百円やけどな」


 そう言って僕は、グラディウスⅢとか、パロディウスだとか、それからファイナルファイトだとかいった機種を指さした。小夜ちゃんはまたもや物珍しそうにそういった機種を眺めたあと、振り返って僕に聞く。


「で、尾崎センパイは何をするんです?」


 その疑いもなにも持たない純真そうな目に、一瞬僕は罪悪感を覚えてしまった。


「えっと、ああ、そうやな」


 実はこの時、僕は脱衣麻雀をよくプレイしていた。いわゆるちょっとエッチなゲームだ。川城たちと一緒にプレイすると確実に盛り上がったし、三人でやればコンティニューも一人の三倍できたのだ。


 ――とはいえ、さすがに今日脱衣麻雀をするのは……


「あれ……、かな?」


 と、適当に店内を見回した僕は、去年何度もやった大魔界村を指さしたのだった。


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