SFC 新・熱血硬派 くにおたちの挽歌
SFCのレトロゲームをやってみた感想文です。
これはダメでしょう。
まず、ストーリーがSFCでは完全にアウトだと思います。まぁ、今後リメイクは無いと思いますので、そういった意味では貴重な一本になるとは思います。
まず、その一番の問題となるストーリーから、いきなりネタバレで書いてみます。
最初のオープニングムービーで、主人公の『くにお』と『りき』のそっくりさんが、幼い子を連れて歩いていた一般人男性をバイクで轢き逃げして殺害します。目の前で父が轢かれた子どもに、くにお と りき らしきの姿を見せ、その子どもの目撃証言からくにお と りきが逮捕されて少年刑務所に収監されるところからゲームがスタートします。
SFCも後期の頃の作品だけあってドット絵ムービーもよく動いていて出来が良いのですが、こういった描写が良く出来過ぎていては却ってダメでしょう。いくらゲームのストーリーとはいえ、不良少年が喧嘩を売る目的のために何の罪も無い一般人をまず殺して、その濡れ衣を晴らすために真犯人を捜すストーリーって、当時SFCを主にプレイしていた対象年齢からみても、そもそも『くにおくん』シリーズを楽しんでいたファンにとっても、ちょっとこれはやり過ぎだったんじゃないかと思います。全体の話も自己中過ぎで、最終的に真犯人をボコって『自分達が犯人じゃないって証明できてめでたしめでたし』で終わるのですが、冒頭で目の前で父親を殺された子どもには全く触れられておらず、この不良少年達の抗争に巻き込まれただけの親子のケアは全くなしという、当時のメーカー内のハラスメントの状況がどれ程のものであったか透かして見えてくるような、嫌な印象さえ覚えるストーリーです。
冒頭からのストーリーも、少年刑務所内でいきなり新人いじめにあった くにお と りきが相手をいじめ返して支配して、その連中を囮にして刑務所から脱走して真犯人を捜して廻るというのがメインストーリーです。途中で一般人からバイクを強奪するわ、民間のビルに入り込んで火をつけて倒壊させるわ、やっていることはなんの筋も通っていないただの異常者の迷惑行為です。龍が如くのほうがよっぽど真面目でちゃんとしています。
さらに追い打ちをかけるように良くないのが、キャラクターデザインやキャラの動きが完成されていないという点です。これがもしファイナルファイトや飛龍の拳くらいキャラデザがシュッとしていたらシリアス路線で全体がもう少し引き締まった印象に収まっていたと思うのですが、これほど重い内容のストーリーなのにキャラはあくまで三頭身のアニメキャラ。闇金ウシジマくんをおぼっちゃまくんのキャラでやっているのを見せられているようで、全くもって合ってないです。アニメキャラなのに派手なアクションも無く、途中で女性キャラに変えてもビジュアル以外、動きの個性もあまり変わらない。
まぁ、くにおくんシリーズとして迷走していた時期だったのか、シリアス路線ならシリアス路線でもっとビジュアル面でも硬派に仕上げるか、コミカル路線ならコミカル路線で『マッハぱんち』とか『にんげんぎょらい』みたいな派手なアクションを残しておいて楽しく遊べる方に振っておくか、どちらかに全フリしておいた方が良かったんじゃないかと思える作品でした。
これはいろいろと問題のあるゲームだと思いました。