前へ目次 次へ 3/32 午後の庭で 花盛りの小さな庭を眺めて、珈琲を啜る。 さして世話をしていないそこに、植えたはずのない花がひょこひょこと生えていたりする。 風や鳥に運ばれ、根を張ったのだろう。 植物の生存戦略はしたたかだ。 この猫の額ほどの庭を侵食することなど、造作もないことだろう。 日射しの暖かな、休日の午後。 鉢植えのブーゲンビリアが、どこか窮屈そうに揺れている。 離脱せよ 上昇せよ 風を知る ものたちよ その風に 飛ばされるのではなく その風で 飛んでいくという 誇り高き 種子たちよ──