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夏の終わり
夏を煮詰めたような海が
目映い青さでありました
水平線を突っ切って
絵のように貼り付いた
入道雲の向こう
あなた
こちらを見ているのなら
つま先が砂に埋もれるくらい
背伸びして
大きく大きく
手を振りましょう
懐かしさが
喉を満たして
溢れでたなら波にのせ
来る日も来る日も
送りつづけましょう
夏は膨らみ張りつめて
すうっと褪せていく陽射し
海の色が柔らかくなり
雲はいつしか
分かれ行き
影が次第に薄くなって
あなたも
だんだん見えなくなって……
切なさだけが残るなら
夏も終わる徴でしょう
行き止まりの足跡は
いつしか掻き消され
沖の彼方と浜辺の私
合間で海は
静かに凪ぐのでしょう




