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scrapbook 2021  作者: a i o
22/32

八月の影

堤防に

立て掛けられた

朽ちかけた梯子

つたって

浜辺に出れば


乾いた砂浜に

腰を下ろし

海ばかり

みていた

いくつもの夏の日に


何気ない

語らいが好きだった

白波の立つのを

数えながら


やどかりの歩幅

砂を掻き分け

足跡もつけず

突き進むのを

見つめている


少しずつ

夏は終わって

雲の形が変わって

頬に感じる

日射しの熱は

優しくなって──



毎年の

毎年のことだと

思っていた


それなのに

朽ち落ちた梯子


日々はつづきながら

様を変え

鈍る足と

透明な防波堤

越えることもできず


窓越しの空に吐く

ため息

かなしいくらいに青い

だから──

わたしは──



いつか

拾いに

拾いに行かなければ

なりません


下り坂の向こう

フロントガラスの遠く

待ちわびる水平線


夏をとりこぼした

砂浜に

わたしの影が

ひっそりと

淡く佇んでいるのです












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