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雨あがる7月
どしゃ降りの雨が数日続いた。分厚い雲の中で冷たい光が走り、唸るような雷鳴が轟いた。傘は役に立たず、外を少しでも歩くと靴の中がぐしゃぐしゃと濡れた。
あちこちに深い水たまりができ、道路脇にある排水溝からは絶えず滝のような勢いの水音がした。
今、すっかり雨は止み、窓辺からは虫の声と蛙の声が聞こえてくる。
週末から天気は晴れ続きだ。きっと梅雨も明けるのだろう。
雨が上がれば、夏が来る。
雨の余韻も残さぬ、カンカンと照りつける眩しい太陽が、その熱を容赦なく奮う夏が。
朝、玄関を一歩出た途端、立ち込める蒸し暑さ。ずっと遠くまでのびるような青い空。わしわしと鳴く蝉の声と、街の向こうの海。
海。
いきいきと明るく、その輝きが胸を締め付けるほど、切なく美しい夏の海が、もうそこにあるのだ。




