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六月のティータイム
白い食卓に並べられた、黄金色に輝くマフィン、熱々の紅茶、二つに裂いた無花果。時計の秒針を聞きながら、午後のお茶を啜る。ふわふわの無花果を咀嚼すれば、口中に広がる瑞々しい甘味と、プチプチとした歯触り。一口かじる度にバターが染み出るマフィンは、さっぱりとした紅茶にとても合って、しばし夢心地となる。ひと息吐くごとに生き返るような、もしくは、今すぐ深く眠ってしまいそうな洗いざらしの気だるさ。ルーズな気持ちと、背徳感がない交ぜになり、これは幸福だと静かに結論づける、六月の午後。窓の外では、温帯低気圧となった台風の残した雷雨が、ざんざんと泣いている。




