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風のある風景
こんなに空の
澄んだ日は
風を拾って
高く
高く
鳴ってみたいわ
軒先に
吊るされた
あの硝子の
風鈴のように
***
去って行ったの
日のあたる
一番明るいところを
影の隙間を
雨とライラックの
匂いを連れて
空の端に
高く聳える雲があって
その中に
幾つもの雷が
走っていること
触れ回るように
一目散に
***
風の生まれるところで眠ってみたい。
きっと何処より、静かなところ。
息を吐く前の、とろりとした藍。
それとも、深海の暗さ。
風の生まれるところで眠ってみたい。
穏やかさとは程遠い、混沌としたところ。
漏れ出る際の、冷えきった光。
夢見る前の、瞼の血潮。




