表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
scrapbook 2021  作者: a i o
13/32

五月/耳鳴り

耳鳴りがした


なにかの

前触れのように


高く

きぃぃんと

私だけに鳴り響いた


梅雨入りした、と

何日か前

ニュースで聞いた


曇天と雨と晴れ間を

繰り返し

ムッと暑い日々が

続いた


そこかしこで

渦を巻くような

めまいがして


ベッドにもたれ

窓越しに

雨を見る


次第に

窓を打つ

雨の音と

耳なりの境目が

消え


私だけに聞こえるのか

そうでないのか

判然としないまま

時間は過ぎた


伸びた芝生を

掻き分けるような

水溜まりが

できた頃


振り絞るような

一滴をたらし

うす暗闇の中で

雨はやんだ


ちぎれた雲の

合間合間の

星は輝き


窓を開ければ

蒸した風が

流れ込む


しっとりと重い

草露の匂いに

混じる

夏の気配



耳鳴りがした


さぁさぁと

止めどなく


波のように

私だけに鳴り響いた










評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ