前へ目次 次へ 11/32 遠い日に モノクロームの海で 私は魚になった 泡波の白 海原の黒 跳ねた飛沫の 微かなる灰色 白い太陽が 黒い海に沈む 黒い空に 白い星が光る 影を知ってる? あなたが思うより ずっと 大切なものだった 記憶よりずっと鮮明な、波の音を聞いた。 私の遠くは目の前に広がりつづけている。 シャッターをきったあの日から、銀灰色の海は私のものだ。 閉じ込めてしまいたい──確かな意思でそうしたはずなのに、気が付けば、閉じ込められてしまいたい──そう強く願ってしまう自分がいるのだ。