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  作者: 暮伊豆
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別離

応接間から出てきた百合子。その腕で二朗をしっかりと抱きかかえながら。


「おお、一朗か。聞いちょったな? そういうわけいや。一つ聞くでぇ? お前は二朗の兄か?」


そんなの当たり前に決まっている。だが、百合子の質問がそんな簡単な答えを望んでいるとは思えない。考え込む一朗。そしてすぐに答えは出た。


「うん! 俺は二朗の兄貴だよ! 何があっても!」


「そうかい。お前は兄貴かい。兄貴じゃったら二朗が困った時にぁ助けちゃれのぉ?」


「もちろんだよ! ばあちゃんこそ二朗を頼んだよ!」


「へっ、生意気な。そうじゃの、どんだけ強うなったか見ちゃろうのぉ。()いや。片手で相手しちゃるけぇ。」


百合子は右手で二朗を抱えているのだから。


「今日こそ勝つから!」


鞄を投げ捨てて百合子に体ごとぶつかる一朗。

しかし微動だにしない百合子。


「一朗……強くなったなぁ。お前はあんな両親みたいになるんじゃないでぇ……弱い者を切り捨てるような、人でなしにはのぉ……」


そう言って百合子は左手一本で一朗を持ち上げた後……抱き締めた。


「ばあちゃん……」


「じゃあの。私に勝てる自信がついたら訪ねて来いのぉ……」


いつになく優しい手つきで一朗を離した百合子。一朗には、それがまるで永遠の別れにも感じられるほど……残酷な優しさに思えた。

いつものようにぶん投げてくれた方がどれだけよかったか……

挿絵(By みてみん)

©︎りすこ氏

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普段はこんなのを書いてます。
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― 新着の感想 ―
[良い点] 最新話「113」まで読み終わっての感想になります。 何度、読んでもここのシーンはぐっときます! おばあちゃぁぁぁん!!(ぶわっ) ってなります。 百合子さんが一朗さんに言った「弱い者を…
[一言] 一郎! おばあちゃん! 名シーンですね!
[良い点] 一朗に対するお婆ちゃん…優しい…
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