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美砂の対応
『白浜組です』
電話に出たのは美砂だった。
「あっ、あの! 彩花です! い、今! うち、次郎の家に兄が! 藤崎健二が来たんです!」
『そう。それでどうなった?』
「お、追い返しました……」
『へぇ? どうやって?』
「次郎が『瀧川家』の者だと言って……」
『ふぅん、次郎って瀧川家の者だったのかい?』
「え? だって美砂さんがこの前……」
『あら、私そんなこと言ったっけ? 滝川と瀧川。似てるからお兄さんが勘違いしてもおかしくないけどさ。まあいいさ。後は任しておきな』
「は、はい……ありがとうございます……」
一つの県どころか一つの地方を四分するほどの力を持つ藤崎家。そんな名家を相手に吹けば飛ぶような白浜組が一体どうすることができようか……彩花は一刻も早く次郎に帰ってきて欲しいと願うのみだった……