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愚直な次郎
ご褒美と聞いて、昔の記憶が蘇った次郎。彩花に命令されたあの行為の数々。腕や舌がつってもまだ動くよう強要された日々。そして、その中にあっても次郎にとっては快楽と言える瞬間もあったことを。
最近だって彩花に襲われた行為の中で、苦痛を味わいつつも悦楽を感じていたことを。
「何よ次郎。ご褒美が欲しくなったの? お前にしては珍しいこともあるのね。だったらさっさとそれを終わらせればいいでしょう?」
計算ドリルを終わらせる。それは次郎にとって簡単なことではない。全ての問題を解き終えて、そして答え合わせまで終わらせる必要があるのだから。そして次郎は解けない問題だからと放置して解いたふりをすることができない人間だ。
必然的に……次郎の脳は限界を迎え、彩花の相手をすることもなく机に突っ伏して眠り込んでしまった。
「馬鹿……次郎の馬鹿……」