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  作者: 暮伊豆
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次郎のポジション

「おぉ次郎、ビビったって? しゃあねぇ奴やのぉ。せっかくやけぇ網ぃ上げるのも覚えとけのぉ。」


クレーンからは特殊なフックが吊り下げられている。横幅は4m。鉤爪の数は5本。

その5本の鉤爪に金網をひっかけて宙に吊り上げる。これは誰にでもできる簡単な作業だ。玉掛けの資格など必要もない。

難しいのは……金網と金網を繋ぐこと……でもなく、全ての金網を繋ぎ終えて、最下部の金網にロープを結んだ後の仕上げなのだ。


「ブーム倒せぇ! もうちょいじゃあ!」

『右あげぇ! おっしゃそのまま待っとけぇ!』

「次郎ぉ引っ張れ! そこじゃあ! 動くなよ!」


頭の指示は多岐に渡る。肉声でクレーン車のオペレーターに。無線でリンゾーに。そしてまた肉声で次郎に。ミリ単位、とはいかないまでもセンチ単位で崖に網を張っている。崖の上で作業をしているリンゾー達に全景は見えない。よって下から見ている頭の指示が全てなのだ。


数センチずれたところで安全性にさしたる影響はない。だが、公共事業である以上、一定の見栄えが求められるのは必然だった。

そしてこのロックネットというものは遠くから見た場合、想像以上に垂直水平のズレが目につくものでもある。もちろん次郎にそんなことが分かるはずもないが、頭の言う通りにロープを手繰ったり緩めたりと必死に作業をしていた。


なお午前中、次郎のポジションを担っていたのは頭自身であった。

挿絵(By みてみん)

参考までに……石城山ってとこで見かけたロックネットです。

これはクレーンどころか命綱すら必要ないタイプです。

その代わり資材の運搬が地獄って感じがする現場です。

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普段はこんなのを書いてます。
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― 新着の感想 ―
[一言] 凄い。メンタルやられた人間がでても、迅速なこの対応。
[一言] おぉっ 参考資料とは…! こういうのがあると真実味が増しますよね
[一言] ああー、これがロックネットなんですね! 見たことあります! 確かにこれは大変そうな作業ですね!
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