倉庫の整理
そして昼。
「ほら、食べな。」
美砂から手渡されたのは弁当。おそらく美砂の手作りだろう。
「あ、ありがと……」
「お茶も好きに飲むがいいさ。」
「う、うん……」
一心不乱に弁当をかきこむ彩花。朝から何も食べてないことを差し引いても、かなりの早さだ。
「かつえどうじゃないんだ。ゆっくり食べな。」
「かつえどう……?」
「飢えた子供って意味さ。そんなことも知らないのかい。これだからお嬢様は。」
「そ、そんなの聞いたことないし!」
「そりゃそうだ。それよりおかわりは要るのかい?」
「い、いる……」
「ふん、ついて来なぁ。」
案内されたのは台所。
「ご飯はそこ、味噌汁はあれ、おかずは適当に食べな。あたしぁちょいと出かけてくるから、一時になったら続きを始めてな。分かったね?」
「わ、分かったわよ……」
彩花はそれから自分の手で弁当箱にご飯をよそい、味噌汁をお椀にいれた。水屋に置かれた数品のおかずをご飯の上に乗せ、食べ始めた。
「起きな! 何寝てんだよ!」
どうやら昼食を終えた彩花は寝ていたようだ。時刻はすでに三時を過ぎていた。
「みんなが帰って来る前に倉庫を元に戻しておくよ! あれじゃあ仕事になんないからねぇ!」
「わ、分かったし……」
それから、二人がかりで、いや学校から帰ってきた羽美と海も駆り出された。四人ががかりでどうにか倉庫を元に戻すことができた。
「お姉ちゃんだぁれ?」
一息ついた時、敵意を含んだ目で羽美が問いかけた。