白浜組の倉庫
「さぁて。次郎の仕事を説明する気はないけど、次郎に使わせた金の分ぐらい働いてもらうよ? ここまで来たからにはやるんだよねぇ?」
「やるわよ! 次郎にできるんなら私にもできるわよ!」
そして美砂は倉庫へと入っていった。いつも次郎達が現場で使う道具が置かれた倉庫だ。
「とりあえず一階の物を全部外に出してもらおうか。それからきれいに掃くんだ。分かったねぇ?」
「はぁ!? これだけの物を!? 無茶よ! どれだけあると思ってんのよ!」
「つべこべ言わんとやれや! 文句ぁ後で聞いてやるよ!」
ぶつぶつ言いながらも作業を開始した彩花。軽そうな物を持っては倉庫の外に置いている。
「ちんたらしてんじゃないよ! 明日の朝までやるつもりなのかい!」
美砂の檄が飛ぶ。
「わ、分かってるし!」
一時間ほどかけて、倉庫内に山と積まれたロープ類だけが全て外へ出された。
「そのロープは軽く叩いてから一旦解きな。そんできれいに伸ばしてから巻くんだよ!」
「はぁ……はぁ……こうね……」
「そうそう。やりゃあできるじゃないか。」
それからも次々と倉庫内から資材や道具が運び出された。彩花はすでにふらふらしている。
「ほら、休憩だよ。飲みな。」
美砂から手渡されたのは、よく冷えた炭酸飲料だった。
「ゲプッ……」
「ギャーハハハ! あんたみたいなお嬢様でもゲップすんのかい!」
「あ、当たり前だし!」
喉の渇きに耐えかねて、一気に飲んだのだから当然のことだろう。
それから、彩花はふらふらになりながらも昼まで作業を続けた。




