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美砂と彩花 2
彩花の一言に思わず納得してしまう美砂。
「ふぅん? そこまで次郎の側に居たいってのかい?」
「う……うん……」
「じゃあなんであん時逃げたのさあ? 次郎が汗水流して稼いだ金を持ってさ?」
「こ、ここでの次郎の暮らしが……信じられないほど……見窄らしくて、惨めだったから……」
信じられないほど正直に言った彩花。次郎が一日働いて稼ぐ金と同額の肉を食べておいて……この言い草である。
「ふぅん。次郎の暮らしが惨め……か。あんたぁ自分で金ぇ稼いだことなんかないだろ。当たり前か……よぉく分かった。行くよぉ。さっさと来な!」
「う……うん……」
寝巻きのまま、美砂の車に連れ込まれた彩花。一体どこへ行くというのだろうか。




