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次郎の報告
朝が来て、次郎は仕事へ出かける。もちろん彩花は寝たままだ。
白浜組にて、出発前の慌ただしい時ではあるが次郎は頭に彩花のことを報告した。何のことはない……頭の顔を見て、言われていたことを思い出しただけのことである。
「あぁ!? 来たらすぐ知らせろっつったろぉが! そんでぇ!? 今そいつぁお前んちにおるんかぁ!?」
恐る恐る首を縦に振る次郎。連絡できなかった事情を説明できるような次郎ではない。
「まあええわい。ちっと待っとけぇ。」
そう言って頭は事務所の中へ入っていった。
待てと言われたために荷物の積み込みなどの準備を手伝うこともなく待っている次郎。
五分後、頭は戻ってきた。
「とりあえずお前は普通にしとけぇ。そんじゃあ行くでぇ。」
全員が車に乗り込み現場へと出発した。なお、羽美は次郎を見ていたが近寄ることなく不機嫌そうにそっぽを向いて学校へと向かった。