彩花の猛威
いきなり彩花に助けを求められた次郎。しかし、思考が動かない。一体どうしたらいいのか……
「ねえ次郎……寒いよ……」
その一言で我に帰り、彩花を部屋に上げてしまった。次郎は部屋に上がり込む彩花を見て、スイッチが入るかのように頭の言葉を思い出した。彩花が来たら必ず知らせろと。
黒い電話から受話器を持ち上げ、ダイヤルを回す。
「次郎? どこに電話してるの?」
彩花の一言で、どこまでダイヤルを回したか分からなくなった次郎。やむなく受話器を置き、勤め先の社長である旨を伝えてから再びダイヤルを回し始めた。
「社長に何の用事なの? こんな時間に。」
彩花、お嬢様が来たら知らせる約束であることを馬鹿正直に言ってしまう次郎。電話はまた、かからぬままにされてしまう。
「そんな……お願い! 誰にも言わないで! だって私がここにいることがお兄ちゃんに知られたら……また……」
そうは言われたものの、次郎も頭からきつく言われている。必ずだと。再度ダイヤルを回す。しかし……
「次郎!」
彩花に押し倒されてしまった。いくら現場仕事で多少の力が付いたと言えど、次郎は小柄である。年下女性である彩花にすら力負けをするほどに。待ってくれと口にする次郎だったが彩花によって塞がれてしまった。彩花の口によって。
二人だけの部屋、二人だけの夜。
この夜、彩花は久しぶりに次郎の身体を蹂躙した……