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薪を割る次郎
祖母に言われるがままに実家に帰った次郎。そして薪を割る。家の裏には丸太が何本も転がっている。祖母がチェンソーで切ったのだろう。もし次郎が帰って来ず、入院もしなかったなら斧で割るところまで済ませていたことだろう。
割っては積む次郎。二時間もすると周囲から丸太はなくなった。冬だというのに汗だくになっている。 積み上げた薪を見て昼から風呂もいいかと考えた次郎。
ならばその前に家の周辺の木も切っておこうかと、鉈と鋸を手にして表にまわった次郎。年寄りの一人暮らしだ。枝が伸びているのも当然だろう。
そこに……
「すいませーん。道を教えてもらえないですかー」
観光客だろうか。
「龍宮城ってどっちですかー?」
女子大生だろうか。車の窓から話しかけてきた。素直に教える次郎。少し遠いが一本道だから迷うことはない。
「あれ? お前次郎じゃん?」
運転席の男が話しかけてきた。