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次郎の帰郷
三日の休みを経て、次郎は回復した。今日から仕事だ。
「おお、聞いたぜ。ついちょらんかったのぉ」
「おめぇも大変やの? まあがんばれや」
「女にぁ気ぃつけんといけんでぇ」
三日ほど休んだ次郎を同僚達はどうも思ってないようだ。自分達だって休むことはあるのだから当然だという考えなのだろうか。
こうして重労働ながらも穏やかな日々が続いた。
そして年末。
「明日から一週間休みじゃあ。」
頭から知らされる。
「おう次郎、おめぇたまにゃあ帰れよ。」
言われてみれば、高校を卒業してから祖母の待つ生家に帰ったことがない。大好きな祖母に元気な顔ぐらい見せるべきだろう。幸いボーナスが少しあったので往復の旅費に問題はない。
電車に乗って県を一つまたぎ、駅を出たらバスに乗る。バスから降りたら歩いて二十五分。懐かしい実家が見えてきた。