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来客
頭の説明によると彼は地元の警察官であり、頭とも付き合いが長いベテランだそうだ。
「そうか。藤崎健二が来たんだな。藤崎彩花を探していたと。」
首を縦に振る次郎。
「今回の君の怪我、残念だがこちらとしては何もできない。被害届を出してもいいが、もみ消されて終わりだ。すまないが堪えてくれ。」
もちろん次郎に理解できるはずがない。
「とりあえず二、三日休んどけや。飯ぁ届けてやるからよぉ。」
言われるがままの次郎。難しいことは分からないが頭の優しさが嬉しかった。
そして健二の登場により、あの日……藤崎家を追い出された事が、頭をよぎる。
また一つ、見えない傷がついた。
翌日の朝、ノックされることもなくドアが開く。来客のようだ。