次郎の買い物
そう言われてもどうしていいか分からない次郎。特に下着だ。彩花の裸体や下着姿は何度も見た。だから自分の物と違うということは分かる。
追い出されるように彩花にメモを持たされ外に出た次郎。とりあえずたまに行く衣料品の店に行ってみる。店員にメモを見せて選んでもらうのだが、パジャマはあった。だが下着がない。女性用下着も一通り置いてあるこの店だが、彩花がサイズ、ブランド、色などを細かく書いたためだ。専門店でもない限り置いてないのは当然だった。この街にシャンプー類がないだろうことは早々に気付いたくせに。
そして次郎は知らないことだが、女性用下着というものは高い。通常の物ですら現在の手持ちでは到底買えるはずもない金額なのだ。ましてや彩花が身に着ける物ならば……
いずれにしても他に店の当てなどない次郎だ。とぼとぼと帰るしかなかった。
「はぁ? ないの? どんだけ田舎なのよ! しかも何このパジャマ!? ガキじゃあるまいし花柄にクマって! 信じらんない!」
別の物を買って来させようとする彩花だったが、もう時間切れ。店は閉まっている。
「次郎、これ洗濯しといてよ!」
彩花が投げつけたのは昼間身に付けていた服や下着一式である。着の身着のまま藤崎家を飛び出したのだろうか。
なお、ここに洗濯機はない。次郎はいつも風呂に入るついでに手洗いをしている。
彩花は一体どこまで増長する気なのだろうか。




