表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 暮伊豆
21/144

一年

次の日以降、同僚達の間に次郎がわり算をできないことが広まっていた。そして事あるごとに……


「この現場ぁ43スパンあるでぇ。俺らぁ4人でやったら一人何スパン終わらせりゃあええんか?」


「このロックネットは一巻き5メートルなんやがのぉ、ここぁ高さ38メートルあるけぇ何巻き要るんなあ?」


「ここの(のり)ぁ計算じゃとアンカぁ1200本要るんやけどよお、実際は2割増しじゃあ。なんぼありゃあ足りるんか?」


というように次郎に問題を出すようになった。即答できるものもあれば、答えられないものも多々あった。しかし次郎はそんな出題が嫌ではなかった。





それから瞬く間に一年が過ぎた。


「次郎ぉ、あの木とあの木にロープとってこい!」


「ここぁ7センチ吹きやけぇ金網(ラス)ぅ少し浮かして打てや!」


「パイプのジョイントしごうしとけぇ!」


だいたいの仕事の流れは分かってきたが、まだまだ指示される前に動くことはできない。だが、何々をしろと言われたら過不足なくできるようにはなった。


例えば『ロープをとる』とは木、それもなるべく高い所にロープを結ぶことだが、自分達がぶら下がるロープである。結び方を覚えてない素人に任せられる仕事ではない。

白浜組では『ガメ』、『海軍』と呼ばれる結び方が使用されている。なぜそう呼ぶようになったのかは誰も知らないが『ガメ』は別名『亀結び』、一般的には『巻き結び』と呼ばれている。

『海軍』はここでは『輪っか』とも呼ばれ、一般的には『もやい結び』と呼ばれている。

次郎にしてはよく覚えたものである。


次郎が白浜組で風呂に入らなくなって一年。夕食も自分のアパートでとるようになって一年が過ぎたのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普段はこんなのを書いてます。
i00000
― 新着の感想 ―
[良い点] 良かった!ひとまず危機が去りましたね……! 次郎くんは皆に愛されてる感じがします。 このまま平穏に過ごしてほしいものですが……
[一言] 着々と成長してるううう!!!(感涙)
[良い点] あら。 羽美ちゃんとの間違いは回避できたんですね! でも。まだまだ、次郎には魔の手が、、、怖!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ