黒田と課長
弁護士の丘野が帰った後、警察署では黒田が上司に報告していた。
「……というわけで明日検察に送致します。そっちはどうなってます?」
「変化なしだ。次郎は関係ない、自分がやったの一点張りでな。こりゃその線で起訴するしかないぞ?」
「そりゃまずいですね。こっちの供述調書と思いっきり矛盾するじゃないですか。そうなったらあいつを起訴するのが難しくなっちまいますぜ? 弁護士とゴソゴソ何かやってましたし」
「ふぅむ、逆に藤崎彩花の弁護士とは話がついてるんだがな。ところが弁護士の言うことなんぞ一つも聞かんと来たもんだ。今日など会おうともしなかったしな。面倒くせぇからそのまま通してもいいんだがなぁ……」
「ちょっと待ってくださいよ。そしたら俺はどうなるんですか。藤崎家を敵に回すなんて冗談じゃないですぜ!? 課長だってやばいんでしょ?」
「まあなー。でも面倒なもんは面倒なんだよ。なぁクロよぉ。なんかアイデアねぇのか? 楽に二件とも解決するアイデアはよぉ? おっ、そうだ。明日検察行くんだろぉ? その道中で不幸な事故とか起こらねぇよう気をつけとけよ。あーあ、楽なアイデアがありゃあなー?」
「課長……」
「まっ、気をつけとけや?」
黒田は何か指示を受けたのだろうか。