県議会議員 宮脇
「どうやら上手くいきそうですね。頼りにしてますよ? 宮脇先生?」
「はっはっは。刑事の一人や二人動かすぐらい容易いことですわい。健二さんこそ次の選挙は大丈夫でしょうな?」
「もちろんですよ。宮脇先生にはまだまだ働いていただかないといけませんからね。対立候補や泡沫候補まで合わせて言い含めてあります。この先十二年は宮脇先生の天下ですよ」
「はっはっは、ありがとうございます。二十代そこそこで藤崎家の跡目を継いだと聞いた時には驚いたものですが、どうしてどうして。先代に負けず劣らずやり手ですなあ」
「いえいえ、先生こそ警察を意のままに操る手腕は未だ健在ですね。頼りにしておりますよ。何せ純粋無垢な妹を籠絡し悪鬼もかくやというほどに手を汚させる極悪人ですからね。どう考えても無実なはずがありません。死ぬまで出てこないようお願いしますね?」
「はっはっは。任せておきない。罪は裁かれる、それが正しい法治国家というものですからのう」
「そして有罪か無罪かを決めるのは我々支配階級、というわけですね」
「はっはっは。いやいや、私など健二さんと違いましてな。中央政界に席を持つほどの権力などありませんぞ。せいぜいこの地方での権勢を振るわせてもらうだけですわい」
身の程を知ってるなら長生きできるぜジジイ。きっと藤崎健二はそう思ったことだろう。