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供述調書
取り調べ室だった。偶然ではあるが昨日の朝までいた部屋と同じである。
「よぉーし、今の時刻は……」
「午後12時48分ですよ」
「はいよ、よっしと。これでバッチリだな」
「いやぁ苦労しましたね。黒さんの粘り強い捜査の賜物ですよ」
「いやいや、お前のアイデアのおかげだろ。これでお前も出世間違いなしだなぁ? 偉くなっても俺のこと忘れんなよ?」
「やだなぁ黒さん。当たり前じゃないですか。もう俺達って上がるも下がるも一緒でしょうよ?」
「かかかっ、当然だよなぁ。さあてと、そろそろいいか。そんじゃ俺はこいつが自供したって『上』に伝えてくるわ。後は頼んだぜ? 予定通りな?」
「ええ、粛々と進めておきますよ」
部屋の中には次郎と若い警部が残った。
「あっ、トイレですか! ご案内しますよ! こちらです!」
もちろん次郎はそんなこと言ってない。何か次郎をトイレに連れていきたい理由でもあるのだろうか。