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杜撰な奸計
「黒さんどうします? あいつ意外にしぶといですね」
「今だけだろ。どうせこの状況を理解できてないだけだ。もう少し待つぞ。そんで適当なこと言ってサインさせちまえ。わざわざ供述調書なんざ見せる必要なかったな」
「そうすね。適当な書類を見せて署名欄を切り取るか何かすりゃいけるでしょ」
「おう、それでいこう。あんま時間もねえしな。お前その用意してこい。その間に俺が上手く誘導しとくからよ」
「分っかりました! さっすが落としの黒さんっすね!」
「ばぁーか、いいから早くしろ」
若い警部がどこかへ消えると、中年の刑事は次郎がいる部屋へと戻っていった。果たしてこのような杜撰な手段が通用するものなのだろうか……