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寒い部屋
羽美が帰ってから数時間後。次郎はようやく起き出して、すっかり冷たくなった弁当に箸をつけた。
食欲もなければ空腹感もない。それでもある種の義務感から弁当を一口食べたところ……次郎の食欲が復活した。たちまち全てを食い尽くし、再び思考が止まった。
一体何が起こったのか。自分はどうするべきか。彩花は何やら怒っていた。警察にも行った。あれこれ聞かれたが理解はできなかった。
しかし……次郎は必死に考えていた。
分かったことは、彩花がいないと部屋が広く……一人で眠る布団は寒いということだけだった。