2話 喰魂の指輪
なんとかなりそうです。頭痛い…
エリーゼは俺を連れて町の郊外へと向かった。町を出てすぐの森の中の小さな小屋に連れてかれ、渋々ついていくと、小屋の中は小屋が数百個入る広さあり、空間魔法で広げているようだ。
ここでは時間の流れすら違うらしく小屋(拠点Aとする)の中での5日が外での1日と同じだそうだけど。
「外での1ヶ月だから実質5ヶ月の修行だね。まぁ頑張ろうじゃないか。アルトリアが強くなれば、私は引退できるからねえ」
「5ヶ月で魔力総量が上がるんですか?本当に?」
「大丈夫大丈夫。滅多に失敗しないから」
笑顔で話しているが、失敗あるのか?
「おい、失敗したらどうなるんだ?」
「え?そりゃ体がばくさ、いや少し怪我するね」
おい、今爆散っていいかけなかったか?そんな危険な事すんのか?
「それって大丈夫なのか?おい」
「ここまできたら君は逃げられないからぶっちゃけるけどね。私の目標は君を世界最強の人間に育て上げる事なんだ。君にはその素質がある。」
「素質ってどういう事だ?」
「やる気はあるみたいだね?じゃあ説明しようか。」
話聞かねーなこいつ。
そう言ってエリーゼは袋から真っ黒な見ているだけで闇に堕ちそうな禍々しい指輪と金色に煌めく4センチくらいの球体を取り出した。
「この指輪は喰魂の指輪って言って『意思ある武器』の一種だ。この指輪は強くなりたいという渇望を抱く者にしか使えないと言われていて、指輪に拒絶された瞬間に四肢が爆散する。効果はつけてみないとわからないんだ。文献によると作られて2万年経っていてまだ4人しか使えてないらしいから」
そんなやばいもの使うのか。でも今まで虐げられてきた俺は強さが欲しい。何にも邪魔されず生きる事が出来るほどの強さを。
「わかった、挑戦しよう。その金色の玉はなんなんだ?」
「これは後でのお楽しみだよ」
ニヤッと笑いながら言われても怪しさしか感じない。
「とりあえずその指輪を貸してくれ。」
彼女は無言で俺を見つめ尋ねる。
「…………覚悟は………」
当たり前だ。
「出来てる」
彼女は哀しそうな笑みを浮かべながら死んだら埋葬してあげるよと言った。
「じゃあつけるぞ」
そして禍々しい指輪を左手の中指に挿す。
その瞬間とてつもなく重いものに潰される感覚がした後俺は倒れた。
目が覚めたら辺り一面泥沼のような場所だった。ここはどこだ?
『ここは貴様の精神世界であり貴様の墓場となる場所だ。』
頭の中に直接響く声がする。精神世界だと?幻覚魔法みたいなものか?
『いや、違うぞ。今から貴様と我が戦い見事勝ってみせよ。さもなくば貴様の命は今まで我に挑んで来た者と同じ道をたどることになる。』
気がつくと目の前にスライムがいた。ただし真っ黒だが。え?こいつが今話してた奴?弱そうなんけど。
『貴様ァァァ!弱そうとはなんだァ!我は神によって創られた意思ある武器だぞッ!舐めるなよォォ小童ァァァ!』
スライムが触手を伸ばしてくるスピードが速過ぎて目で追うことすら叶わない。距離はあるのでなんとか避けることはできるが勝算が全く浮かばない。とりあえず謝ってみようか。
「すいませんでしたぁぁ!あなたの姿はとても可愛らしいのに実はとてもお強い!そのギャップは天晴と言えるほどのものでしょう!私はあなた程強い方を見た事がありません!」
『な、なにっ!我が強いだと?そ、そりゃそうに決まっておろう。我は神に創られた道具なのだからな!貴様は我のことをよくわかっておるではないか!貴様は我を扱うに値する良き人間だな!よし、我を使い共に精進しようではないか。」
チョロッッ!
「貴様、名はなんという?」
「俺の名前はアルトリアだ。お前の名はなんだ?」
「我に名など無い。我は貴様に口出しはせん。この指輪から外の世界を見て楽しむとしよう。」
「わかった。ところでこの指輪の能力はなんなんだ?」
呆れたと言わんばかりの雰囲気で答える。
「貴様それも知らずに我に挑んだのか?」
いや、挑んで無いし、お前がいきなり襲いかかってきたんだろ。などとは言わない。
「文献にも載ってなくてな。」
「ふむ、我を前に使った者は700年ほど前だからのぉ。人間には長いか。この指輪の能力は所有者が殺した生物のステータスを1つ手に入れる事が出来るのだ。」
「それってなんでも取れるのか?スキルとかレベルとか」
「ああ、もちろん。だから我は神具なのだ。」
神具はわからんがとりあえずすごいものだろう。まぁチョロそうだしなんとかなるか。
「これからもよろしく頼む喰魂の指輪」
「うむ、よろしく頼むぞ我が主よ」
そしてまた意識が遠くなり消えた。
指輪チョロいんです。まだことちょろいんです。