表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

そして目覚めた

投稿遅くなってしまって申し訳ございません。

「――――朝、か……長い夢だったなぁ……」


 目覚めた少年はそう呟く。


「なんか、最近同じ夢を見る気がするなぁ……。どんな――いや」


 その少年は自分の手のひらを見つめながら、言った。


「――誰の、夢なんだ?」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「イーリーアー!」


「ん? どうしたかける?」


 かけるが話しかけている少年はイリア・ロット。かけるの最大の友達で、幼い頃からの付き合いだ。

 かけるがウキウキしながら彼に駆け寄っていくのには理由があった。


「イリア! お前魔力を解放できるようになったんだってな! ……うわっ!」


 無邪気に走って来たかけるは止まり切れずにそのまま転んだ。

 しかし、特に気に留める様子もなく立ち上がり、そのままイリアに話しかける。


「お前まだ10歳だろ!? 俺と同い年なのにもう解放できるなんてすげぇよ!」


「あ、ああ。まあそうだが……どこで知ったんだ?」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 ――魔力というのは、普通の人間が努力を重ねて解放できるもので、要する期間は6年程と言われている。


 しかしながら、それは普通の人間の話。稀にではあるが、元々解放された魔力を持って生まれてくる人間もいる。また、種族によっては、生まれつき魔力が解放されている、という種族もあるのだ。そういった魔力は、いわゆる先天的な魔力だ。


 そして、後天的に解放される魔力というのは、解放のために何を為してきたか、どう努力してきたのか。

 そういった過程が、実際に発現する魔力に大きな影響を及ぼす。過程によって、解放される魔力が()()()()変化する代物なのだ。


 最後に、魔力というのは実は誰もがその身に宿しているものだ。

 しかしながら、誰もがそれを簡単に解放出来るか、といえばそうではない。

 魔力を持っていても、それを解放できない人間は多いのだ。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 ――それにしても、まだ魔力を解放したことは誰にも話していないはずだが、何故かけるはその事実を知っているのだろうか……?

 そんなことを考えながら、イリアは頭を掻いて言う。


「……まあ、内容はしょぼいよ。わかったことだけど、自分を中心とした半径約5メートルの範囲にあり、かつ自分より軽い物を浮かべたり投げたりできる、って魔力だ。勿論重力や磁力なんかには影響されずにな」


 言葉では謙遜しながらも、やや誇らしげな表情で語るイリア。


「いやいや、解放できてない俺からしたら大したもんだよ。俺は魔法を学ぶことも考えた方がいいのかな……」


 かけるは少し落ち込みながら言った。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 魔法――すなわち魔術法式の略である。魔力の解放とは違い、比較的容易に、かつ短期間で習得できる。

 また、特定の種類の物だけでなく、様々な魔法を習得することも可能だ。


 しかしながら、魔法には体力を消耗するという欠点もある。単に疲れるなどというものではなく、一時的に生命力を削り取られていくも同然であるため、連続使用は時に命取りになる。


 解放された魔力というのは基本的にこういった欠点とは無縁である。魔力の種類によっても異なるものの、基本的には体の一部を動かすような気軽さで行使でき、体力の消耗なども殆ど無い。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「……ところでさ、イリア。最近、変な夢をよく見るんだけど……ちょっと聞いてくれないか?」


「ふむふむ、気になるな。是非聞かせてくれ」


 かけるの言葉に、イリアは興味を示す。


「夢の主人公は翔瑠かけるって言って、科学に凄く詳しかった。どこかを旅していて……何かを探していたのかな?」


「翔瑠!? お前と同じ名前じゃないか! しかもお前と同じで科学好きと来た! ひょっとして、前世の記憶とかじゃないのか!?」


 イリアは興奮気味にかけるに自分の考察を聞かせるが、かけるは釈然としない表情で答える。


「うーん、それは無いと思うな……でも、俺ももっと科学の事が知りたいな」


 かけるはそう言うと、ポケットに入っていたチョコを口に放り込む。


「科学ねぇ……お前も変わり者だよな。確かに科学は人類の進歩に大きく貢献した。生活は豊かになって、建物もたくさん建った。でも、魔法や魔力の理論が体系化されてからは、そっちの便利さに押されて今や過去の遺物じゃないか。今時科学の事が知りたいなんて奴、なかなか居ないぞ?」


 イリアは若干呆れたような表情でかけるに語るが、かけるは毅然とした表情で言い放つ。


「確かに科学は今や過去の物かも知れない。でも、魔法にないものが科学にはきっと、いや、絶対にある! 俺はそんな科学が大好きなんだ!」


 そして、拳を握りしめて熱く語る。


「大好きな科学で、世界に溢れた謎を解き明かす。それが俺の夢だ! だから、俺はもっと科学を勉強する。そして、いつか絶対に解いてやる! 魔法を()()()奴は誰か、あの夢の謎、世界の万象……! 何があっても、きっと全部解き明かして見せる! 絶対に!!」

最後まで御閲覧いただきありがとうございますm(*_ _)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ